envy…
□逆らえない唇
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ユチョンは黙って私の話を聞いていた。
言葉に詰まっても、静かにその続きを待って目を伏せている。
女は過去を告白してはならない
それは最大のタブー
男には削除が出来ないから
知った分だけ
想いが濁る
「…ずっと黙ってて、ごめんなさい」
髪が肩から流れ落ちた。
すぐそばの冷蔵庫のぶーん、という音がやけに耳につく。
「…そんなことがあったら、芸能人が嫌いで当たり前だよね」
「恐いの」
私は床の模様を見つめていた。
「うん」
ひんやりしたものが座り込んだ足全体に伝わってくる。
部屋は暖かいのに、私の身体は徐々に冷たくなり始めていた。
「やっぱり…会わない方がいいのよ」