envy…
□優しい阻止
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「それ、いい女にはよく言われる」
リョウは腕組みをして悩むフリをした。
「…良かったわね、嫌味な女にも言われて」
私はおおげさなポーズを無視してビールを飲んだ。
「…なあ、名無しさん?」
「なに」
「ユチョンはあいつとは違うからな?」
「リョウ……ケンカ売ってんの?」
噂になった俳優は、しつこいくらいに私を口説いていた。
「彼女とは別れるから」
「名無しさんの方がずっといいよ」
たわ言を連ねては
ゲームに勝利しようとしていた
「だったら別れてから口説いてね」
随分後になって知ったのは、俳優が「落ちない」No.1が目当てだったということ。
おまけに「落とした」と陰でうそぶいていたことだった。
私は芸能人がこの世で一番嫌いになった。