envy…
□優しい阻止
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ツアーから戻ったリョウは久しぶりのビールに「うまい」を連発していた。
ブルームのカウンターを挟んで、私達は約束通り再会を楽しんでいた。
「ツアーはどうだった?」
「いい汗かいて、メシ食って寝る、の繰り返しだよ。でも、楽しいな」
ぐっと引き締まったように見えるのは規則正しく生活していたからだろう。
「リョウ、いい顔してる」
充実感は男の自信
リョウからはまだ熱っぽさが溢れていた。
「惚れる?」
「あんたには絶対、惚れない」
「ユチョンしか見えないって?」
「…そういう所がイヤなのよ」
夜を知りすぎる男は
夜の女には合わない
お互いが分かり過ぎるから
最適な距離を縮めたりはしない
私は溜め息をついた。