envy…
□素顔のNo.1
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「ごめんね、散らかってて。これでも毎日片してるんだけどさ」
先輩はアニメのDVDを棚に仕舞いながら私に座るように勧める。
テーブルの下には破いた新聞紙の切れ端が落ちていた。
私はそれを拾って、くずかごに入れた。
「…女の子ですか?」
「そう、もうすぐ二歳。毎日うるさくって大変」
先輩は散らばった玩具を全てカゴへと投げこんで、テレビの横へ置いた。
「…後で叱らなきゃ」
「今は…いないんですか?」
「邪魔だから、二人で出掛けてもらった。名無しさん、今日は仕事なの?」
先輩は時計をちらりと見てから聞いた。
「…いえ」
「じゃあ、晩ご飯食べてってよ!ついでに泊まってもいいし」
弾む声でキッチンへ歩いて行く。
ばたん、と冷蔵庫が開く音がした。
「先輩、しっかり主婦ですね」
缶ビールを私と自分の前に置くと、電話で買い物を指示する彼女は笑った。
「…まあね」