envy…
□赤ワインの陰謀
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近くで見るとますます色が白かった。
おっとりした話し方で、控えめな雰囲気。
「こんな時間に、一人ですか?」
彼女は同業者には見えない。
まして深夜に一人でブルームにいるタイプにも思えなくて尋ねた。
「変ですか?」
「…私に人のことはいえません」
「たまにはいいかな、なんて」
ナチュラルメイクの彼女が微笑んだ。
マスカラなんかなくても充分に長いまつげが目尻からはみ出している。
「彼氏、心配しませんか?」
つい、口から出てしまった。
「うーん、どうですかね?」
氷を入れた赤ワインをオーダーすると、彼女は考えるように空中を見つめた。
彼の姿を思い出しているのか、唇の端が少し上がる。
私は自分から尋ねておいて後悔した。
聞くまでもない。
「…すぐに飛んで来そうですね」
間違いない。