envy…
□赤ワインの陰謀
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「…お隣、空いてますか?」
「あ、すいません。空いてます」
私は自分のバッグを椅子からどけながら言った。
「ごめんなさい。ちょっとあっちには座れなくて」
軽く体勢を傾けた方には、若いカップルがいた。
いちゃつく、の限界を越えて生々しい絡みっぷりに私はうんざりした。
ヤリたきゃホテルでも行けよ。
「私でも座れません。誰も来ませんから、どうぞ」
私は自分の椅子を目一杯壁にくっつけてから、隣の席もこちらに引き寄せた。
「よかった。断られたら帰るつもりだったんです」
「帰るのは向こうの方ですよ」
上品なキャメルのブーツ
私は笑いかけようと見上げた顔に息が止まりそうになった。
ユチョンがハグしていた彼女だった。