envy…
□蝶の傷み
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『名無しさん、今日はラジオの収録』
『日本語はむずかしいなあ』
『チャンミンと漢字の勉強中』
『名無しさん、大好きだよ』
声が、聞きたくなった。
私はエリにメールを送って、祈った。
…返信が来ますように。
数分後には祈りが通じて、エリからは記号だらけの文章が届いた。
『私のオススメです!』
可愛いらしいキャラクターが画面でハートマークを撒き散らしている。
私は最初のYouTubeのアドレスに接続した。
…ところどころイントネーションがズレる。
楽しそうに笑ったり、優しく話す声を聞いて、私は興奮が収まっていくのを感じた。
吐いた言葉は毒の霧になり
相手にも
自分にも
同じ痛みを負わせる。
どんなに息を止めても
降りそそいだものは
じわじわと全身を締め付けていく。
私に三上を責める資格があるんだろうか。