envy…

□許せない男
2ページ/9ページ

アルコールは神経をリラックスさせる反面、理性の規制を緩めてしまう。

楽しい時に飲めば、楽しさは倍増する。


「おい!早く新しいシャンパン持って来いよ!」


いらいらする時には些細な他人の失敗にも目くじらを立ててしまう。

空のシャンパンを前に、三上はボーイを責めていた。


「申し訳ございません。すぐにお持ちしますので…」


「ったく、こっちは客だぞ」


三上の舌打ちが聞こえた。

レベルの低い男

私は三上の手を握った。


「三上さん、ほら…来ました」


店長が急いでボトルを運んできた。
一回り小さな皿に盛られたフルーツが、頼んでもいないのにテーブルに乗せられる。


「…たいへん失礼致しました」


店長は「後は任せる」と言わんばかりに短い謝罪をすると、ボーイを連れて下がった。

私は三上の手に指を絡ませて微笑んだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ