envy…
□強引な再会
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「三上さんっていいお客様ですよねえ」
エリはスマートでセンスのいい男に弱いらしい。
私にとって彼は「やりやすい客」ではあるけれど、一番「面倒な客」でもあった。
頭がいいから会話は楽しいし、空気も読んでくれる。
金払いだって申し分ない。
「エリ、いいお客様がいい人間だとは限らないんだよ?」
「…三上さんは悪い人なんですか?」
素直で可愛いっていうのはエリみたいな子のことだと私は思った。
特別に悪い人じゃない。
よくある話だといえばそれまでのこと。
「私はああいうタイプがキライなの」
「向こうは名無しさんさんのことが好きなのに?」
「あの人が好きなのは私じゃないよ、エリ」
好きなのはゲーム
いつでも顔に書いてある
俺をその気にさせろよ
いい気分にさせろよ
自尊心を満たしてくれたら
代償を払ってやるから
だから契約は成立してる
「お疲れ様。エリ、チョコありがとね」
私は店から出ると、頭の中から仕事を削除した。