envy…
□オトコの要求
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Bloom《ブルーム》
大人が夜遊びするクラブ。
賑やかなダンスフロアは螺旋階段を降りた地下階にあって、いつでもうんざりな熱気に包まれている。
私のお気に入りはその上にあるバーカウンターだった。
音楽も程よくボリュームダウンして聴こえるし、雰囲気も落ち着いている。
なによりもいいのは従業員。
「よお、名無しさん。お疲れさん」
リョウは必ず私を見つけると同じ言葉をかける。
それ以上でも、それ以下でもない。
私が話したい時には相手をしてくれるけれど、望まない時にはあっさりとスルーする。
絶妙な加減がリョウの魅力だった。