envy…

□優しい阻止
3ページ/8ページ

「あいつの話、しないでくれる?」


私はグラスの残りを空けてリョウに渡した。


「名無しさんって、怒ると本音を話すだろ?だから、ウォーミングアップ」


口角を上げるリョウ。


「…ムカつく男」


「意地っ張りな女」


カウンターで振動する私の携帯に、リョウはちらりと目線を動かした。


「…何よ?」


「別に?」


私は携帯を開いて中身を確かめた。


「なあ、名無しさん。ユチョンは俺の友達だぞ?」


リョウは私の背中を通り過ぎる客に軽く頭を下げた。


「…分かってる」


「じぇんじぇん分かってない、って顔だな?」


「うるさい」


いつでも見透かすリョウが憎らしい。


「…じゃ、特別に教えといてやるか。俺の責任もちょっとあるし」


手招きするリョウに私は心底ムカついた。


「リョウがいい男じゃなかったら…殺してたかも」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ