envy…
□優しい阻止
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「あいつの話、しないでくれる?」
私はグラスの残りを空けてリョウに渡した。
「名無しさんって、怒ると本音を話すだろ?だから、ウォーミングアップ」
口角を上げるリョウ。
「…ムカつく男」
「意地っ張りな女」
カウンターで振動する私の携帯に、リョウはちらりと目線を動かした。
「…何よ?」
「別に?」
私は携帯を開いて中身を確かめた。
「なあ、名無しさん。ユチョンは俺の友達だぞ?」
リョウは私の背中を通り過ぎる客に軽く頭を下げた。
「…分かってる」
「じぇんじぇん分かってない、って顔だな?」
「うるさい」
いつでも見透かすリョウが憎らしい。
「…じゃ、特別に教えといてやるか。俺の責任もちょっとあるし」
手招きするリョウに私は心底ムカついた。
「リョウがいい男じゃなかったら…殺してたかも」