僕の上に空が続く

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先生が授業をする中、携帯が5人の高校生が魂塊(エルノム)討伐で重傷というニュースを受信した。
先生が話していた事が確かに起こった事なのだと改めて実感してしまった。
教室の中では他にもその現実を突き付けられ、歯を食いしばるヤツが何人もいた。

今俺が何をどう悔やんだとしても、何か出来るわけではない。
だけど何か出来ないかと、もし俺に何かできる事があればと考えてしまう。
余計なお節介かもしれない。
それでも何かをしないと始まらないような気がするから。

俺はカフカのパアツの事を思い出していた。
今日の朝起こったもう一つの事件だ。
あれも俺のお節介から始まったんだったなと、後ろを振り向きカフカの席を見る。

やはりあいつはいない。

未だかつてないほどに静かな授業。
先生の声が淡々と話を進めていく。
ただ何かをしていないと、この空虚な時間を誰もどうする事も出来なかった。

やっぱり何にも出来ない。
変わろうとする自分と、変われない自分が葛藤する。
あいつなら俺を変えてくれる気がしたんだ。

「おい、どうした。ペディー」

急に立ち上がった俺に先生が声を掛ける。

「あ、いや…その。どうしたんでしょう」
「馬鹿だろお前」
「空気読んだら?馬鹿コニャック」

考え過ぎていつの間にか立ち上がっていた俺に冷たい視線。
いつもなら起こる笑いも今日は起きないらしい。
あまりにもいずらい雰囲気に、俺は仮病という逃げ道を強引に作る。

お腹を抱えトイレに行く事を宣言し、教室を後にする。
特に行くあてもない。
本当は行くあては1つしかないのに、どうしてだか行く勇気がない。
行かなくてはならないと思えば思うほど、行ったところでどうなるという感情が沸き起こる。

廊下の突き当たりに差し掛かり、窓の向こうの屋上が見えた。
謝りたい。
屋上に立つ彼を見て迷いはすぐに消去された。
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