Novels

□おじいちゃまは心配性
4ページ/8ページ

それから約一時間後。漸く再び電話がかかって来た。
「とぉおはくぅあああっ!!」
再び叫びつつ、電話に突進して行く董卓。しかし今度は床の血に滑り、盛大にずっこける。そんな董卓の代わりに李儒が電話を取った。
「あぁ…あぁ…三百五十、と…百二十…だな。解った、待っておるぞ、クフォフォ…」
怪しく笑い、李儒は電話を切ってしまった。
「李儒!彼奴は何と言うておった!!?三百五十と百二十というのは金かっ!!?」
まくし立てるかの様に董卓が尋ねる。
「左様にございます」
「それに貴様、先刻『待っておる』と言うたな!?彼奴はここに来るつもりなのかっ!?」
「無論にございます。十分の後には…」
「奉先、呂姫ぃっ!!今すぐ金を用意せよっ!!これで、これで…董白は戻って来ようぞ!!」
そう言った董卓の眼は、嬉しさで輝いていた。

そして十分後。現れたのは、
「ちはー。来々軒中国本店西涼支部でーす。ご注文の炒飯とライスお届けに上がりましたー」
出前だった。
「クフォフォ…待ち詫びたぞ」
何の違和感も無く出前を受け取る李儒。
「李儒さん、いつも有難うございますー。あ、これ大将がおまけだって」
「ほぉ…餃子か。いつも悪いと大将に伝えておけ」
「はいっ!じゃあお会計の方、四百七十円になります」
「万札からで良いか?」
「はい、大丈夫です。…では、九千と五百三十円のお返しです。毎度ー」
帰って行く出前を見送ると、李儒はほくほく顔で炒飯とライス、餃子を机に運んだ。
「…李儒」
董卓が半ば呆然とした顔で尋ねた。
「よもや先刻の電話は…あの出前からのものか?」
「左様にございますが…何か?」
董卓は無言で…力無くその場に崩れ落ちた。そしてズルズルと床を這い、既に定位置と化した部屋の隅へと辿り着く。その姿に呂布と呂姫は哀れみを感じたが…二人ともそれよりも気になって仕方無いことがあった。それは…
「…ねぇ、李儒。あんた何で炒飯とライスを一緒に頼んだんだい?」
普通は有り得無い、李儒の注文の組み合わせ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ