「あなたはだぁれ?」
頭の両側で三つ編みをたらし、不思議そうな顔で尋ね
るのは、まだあどけない少女だった。
「何でそこにいるの?どうしてお空に浮いているの?そ
こで何をしているの?」
「ごめんね。それは俺にもわからない。ただ。とても大
切なものをどこかにおいてきてしまったんだ。」
「大切なもの?」
「そうだよ。それを探すためにここにいるんだと思う
けど、それはきっと確かなものじゃないんだ。だからい
つまでたっても見つからないし、手に入らない。」
「ふ〜ん。」
少女は、理解できたのかできなかったのか、それでも納得した顔でうなずいた。
「でもね、おにいちゃん。」
「あなたの顔は、とてもとても悲しそうよ。」
彼女は消えた。光になって、散り散りに。