過激?

□alone
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「…寒い」

ふと呟いたそれは、1人きりの部屋に静かに融けた。






alone






冬になりかけた季節、吐く息こそ白くは無いが冷んやりとした夕方の空気。
それに1人でいることがさらに寒さを掻き立てる。

「寒い…」

もう一度呟いて見るものの当たり前ではあるが返事など返ってくるはずもなく、
ただ白い壁にぶつかるだけ。
自分の轢いていたクッションを漫画を読み終わり、開放された両手で抱きしめる。
自分の残した体温は、冷めきった身体を少しだけ癒してはくれるものの、心まで癒されるということは無かった。


何もすることのなかった脳が勝手に、あの人のことを想う。

いつまでこんな関係なのかなー、とか、
告白してみよっかなー、とか。
考えるだけならいくらでもできることが
実際あの人を目の前にすると、両手が塞がれているかの様に何もできなくなってしまう。
両手で抱えているのは、好きという気持ち、期待、そして、拒否される事への不安。
全て捨ててしまえばどれだけ楽になるのだろう。
全部が無理なら1つだけ捨ててもいい。
期待を捨てる事ができれば、拒否もやっぱりなと割り切れるし、
不安を捨てる事ができれば、想いを思いっきり伝えることができる。
好きという気持ちを捨てる事ができれば、こんなに悩まなくても済む。
いままでもこれからもいい友達で終わる事ができる、の、に…。


抱きしめた擬似的な温もりについうとうと。
愛しいあの人を瞼の裏に浮かべそっと意識を手放した。



(会いたい、な…)






end


お試し版超ショートストーリーです(笑)

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