過激?
□バカップルの隣に住む最年少の受難。
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伊+龍
薮伊結婚、岡森同棲隣室設定 ギャグ
「うわぁぁああん!!龍ちゃぁぁああん!!!!」
まただ。
<バカップルの隣に住む最年少の受難。>
圭人と同棲を始めて早3ヶ月。
この暮らしにも段々慣れてきた頃。
隣室のいのちゃん(ん?一応“薮”ちゃんか)がうちに飛び込んでくるのにも慣れた。
俺の家にいのちゃん(紛らわしいからこれでいいや)がくる日の条件はただ一つ。
「薮がねぇー!!昨日俺の事、うるさいって言ったの!!!!」
薮くんとのケンカの次の日である。
「薮ったらひどいんだよっ!!!あのね…」
薮くんといのちゃんが結婚したのは半年前くらいだった気がする。
それなのにいのちゃんは薮くんのことを“薮”って呼ぶ時がある。
それかこのようにケンカをしているとき。
まぁだいたい、これをケンカって呼べるのかって言われたらちょっと怪しいけど。
いのちゃんが勝手に怒っているだけの場合が大半だから。
「でねー…ちょっと龍太郎聞いてる!?」
「はいはい」
「あーほんとむかつくっ!!!…あ、そうだ!!!」
嫌な予感。
いのちゃんは大体俺に向かって一方的にマシンガントークをした後、ストレス解消の為におれをつき合わせて何かしようとか言い出す。
3日前は「買い物に付き合え」、1週間前は「遊園地行こう」。
いちばん酷かったのは1カ月前くらいの「高木と浮気してやる」だったかな。
薮くんが激怒して戦争にまで発展しそうな勢いだった。
高木くん、号泣だったし。高木くん、なんにも悪く無いのに。ご愁傷様。
思い出すだけで…いや、思い出すことすらしたくない。
正に地獄絵図だった、恐ろしい。
「龍太郎っ!!!!お菓子作ろっ!!!」
「は…?」
「だーかーら!!!お菓子食べたいから、作ろうっ!!!!」
今日はどんな事言われるのかと覚悟を決めたら、なんとお菓子作りですか。
ねっ、とか言いながらいのちゃんが可愛らしく首を傾げるので断れなくなってしまった。
まぁこれくらいで済むならと俺はいのちゃんのお菓子作りに付き合う事にした。
「むー…」
いのちゃん、お菓子作りしようと言い出したはいいものの、実際やった事は無いみたい。
さっきからクッキーが上手く焼けなくてさらに不機嫌。
「もうやだーっ!!!!!なんで龍太郎は綺麗に焼けるのに俺のは焦げちゃうのーっ!!?」
終いには涙目で投げ出す始末。
確かに、何であんなに焦げるのか不思議。
クッキーって失敗するような難しいものじゃないと思うんだけどな。
「ただいまー。あれ、いのちゃんいらっしゃい」
「あ、圭人おかえりー」
いのちゃんがクッキーに向かって口を尖らせて文句を言っていたら圭人が仕事から帰ってきた。
「圭人ぉ…」
「んー?どうしたの、いのちゃん。あれ、クッキーだ」
鞄と上着をイス置いてキッチンに来た圭人はクッキーの存在に気づく。
そして俺の焼いたクッキーを一つ手にとって口に含んだ。
サクッといい音がする。
「うーん、おいしい。さすが」
「ん、よかった」
圭人が俺を見て微笑む。なんとなく恥ずかしくて素っ気ない返事をしてしまう。
でも圭人は頷いてくれて。
どっかのバカップルと比べればマシだが何となく甘い雰囲気。
それを横で見ていたいのちゃんが小さくなんだかんだで待っている存在を呟いた。
「やぁぶ…」
その時…
「けいちゃぁぁああん!!!!!!!」
勢いよく玄関のドアが開いて、入って来たのは全ての元凶、薮くんだった。
ちなみに、ここ、おれの家。
インターホンも押さないで、普通に上がってるけど。
「やぶっ!!」
「はぁ…よかった。家にいなかったから心配にで…」
薮くんは胸元をぱたぱたする。
あのー、今夏じゃないし、隣だから走る必要ないよね。
何でそんな汗かいてるの?意味不明。
「でもっ、やぶ昨日、俺の事うるさいって…」
「ごめん…ちょっと仕事の関係でイライラしてたんだよ…」
ふと、薮くんが机の上のクッキーに気が付く。
「これ…慧が作ったの?」
「あ…うん、でも焦げちゃってるから!!」
おなか壊すって止めようとしたいのちゃんを気にせず薮くんは黒いクッキー(?)を口に含んだ。
「うん、美味しい。さすが、俺の嫁だな」
「そんなわけないじゃん…焦げてるのにさ…」
「嘘じゃないよ。甘くてとっても美味しい。でも…」
薮くんはいのちゃんの顎を持ち上げいきなり軽くキスをした。
ペロッと下唇を舐められ、いのちゃんが赤くなる。
「慧のほうがもっと甘いけどな」
「宏太…」
見つめあって微笑み合うともう一度唇を重ねた2人。
あーあ、完全に深いほうだよ。
見ているのも気まずいのでそっと圭人の方を見ると圭人は顔を真っ赤にして俯いていた。
どこの乙女だ、その反応。
「ふっ…んぁ…」
「はっ…慧、愛してる。だから、帰ろう。ね?」
「ん、俺も…宏太のこと、好き」
「ふ、知ってるよ」
「…ばか」
ダメだ、耐えられない。
吐き気がするほど甘い空気のまま、2人は手を繋いで帰っていった。
ちゃっかりクッキーもって帰ってるところがいのちゃんらしい。
圭人と2人で残され、沈黙が訪れる。
「あー、えっと…」
「…」
お願い圭人。何か話して。
黙っているのも辛いので何か話題を探すと、ある事を思い出した。
「夕飯…作ってない」
「あ?あぁ、龍太郎、クッキー作ってたもんね」
「どうしよー…」
時計は何時の間にか6時をまわっていた。
俺が時計を見ながら時間を逆算していると急に後ろから抱きしめられた。
「ちょ、圭人…」
「今日は外食行こ?」
「え…」
「だから、もう少しこのままで…」
最後のほうは小さかったが何とか聞き取った俺、えらい。
昨日ぶりに包まれた圭人の腕の中。
こんなにドキドキするのも久しぶり。
一応いのちゃんのお陰かな。ちょっとだけ感謝。
圭人は俺のお腹が鳴るまで離してくれなかった。
「うわぁぁああん!!龍ちゃぁぁああん!!!!」
まただ。
あれから5日。しばらくは大人しいなぁとは思ってたけど、やっぱ来るときは来るんだな…。
「で、今回はなに?」
「聞いてくれる!?薮がねぇー、…」
もうなにがきても驚かない。
「薮がかっこよすぎるよぉ」
「は!?」
不覚。驚いちゃったよ。
新パターンだったし、まさか「惚気る」とは。
「ふ、ふーん…」
「光がバンドの練習に俺を誘いに来てくれたときにねー、「慧は渡さない」って言ってくれたんだけどぉー!!!!」
「そぉなんだ…」
まぁ、平和ならいっか。って思いたいけど。
「ちょーかっこよかった!!って聞いてるぅ?」
誰かおれに平穏を下さい。
end
いやぁ、楽しかった!!!!←
俺得小説でっせww\(^o^)/
すみませんwwww