BOOK/SS

□鮮血の羽を広げて
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誰も、私達二人に優しくしようというものは居なかった。


悪魔の子と呼ばれ、他から忌み嫌われた。それでも、愛する妹と一緒なら何も怖くはなかった。

深夜、私達は自らの羽を広げた。今いるこの地から離れ、理解してくれる人を探すため―――

しかし、どこに行っても気味悪がられた。きっと私の羽が人間が象徴する悪魔のはねに似ているから。妹は華やかで、それでいてどの羽にも似ることのない歪な形をしている。だから原因は私だ。

「お姉ちゃん…お腹すいた…」

妹は私より少し大きいその羽を必死に支えていた。
理解されることもなければ、食料もない。私も妹も空腹には限界だった。

ゴミを漁っても食べられるような代物は出て来なかった。

私は、もう生きる術を追い詰められていた。もう、こうするしかないと思った。

「フラン…ついてきて。二人で…生き延びましょう。」

「…ぇ?」

妹が何かを問おうとするまえに私は歩きだした。深夜の街へ…
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