命遊び
□中学生
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やってしまった。俺は膝から流れる血を鬱陶しそうに眺める。六時間目の体育。調子のってスライディングしたらものの見事に自分の足が抉れた。
そんなに痛くはないけれど、出血が酷くて、まわりが心配そうに覗き込んでくる。
ああ、行かなければいけないのか。保健室に。担任が付き添うと言ったのを断り、俺は重い足取りで向かう。
失礼します。と、ドアをノックして入る。どうか、居ませんように。時々出張で居なくなるらしいから、居なかったら絆創膏だけ貰って帰れる。
しかし、俺の期待はもちろん外れて、冷たい声が奥から聞こえてきた。
「修学旅行ぶりだね。ティトレイ」
冗談では済まされないイタズラをされてから、俺はこの先生を避けていた。また、されたら嫌だ。
「なに固まってるの?足。消毒しなきゃ」
おいでと手招きをされて、俺はおずおずと歩み寄る。
座ってと椅子に座らせ、消毒をされる。ピリッとした痛みが染み渡り、思わず詰まった声が漏れた。
手際よくガーゼを当てられ、傷の手当てが終わったことを確認すると俺は直ぐ様、立ち去ろうと身体を捻らせる。
「待って」
やっぱり、見抜かれた。先生は俺の腕を掴み、保健室のベッドに連れ込む。
ここで逃げても先生のことだ。何かしら理由をつけて俺を呼び寄せるに違いない。
俺は素直に先生に従い、飽きることを待った。
この先生は遊びで俺を虐めている。どうしようもないくらい、最低な先生だ。だけど俺は、この先生を訴えて共倒れすることも、泣き寝入りすることもしない。ただひたすらに耐える。それが俺が勝手に決めたルールで、勝つ方法だ。
「避けてたでしょ?」
「…避けるも何も。健康な俺が来ていい場所じゃないですよね」
先生は俺をゆっくりと押し倒した。ギシッとベッドが軋む。慣れた手付きに、頭が痛くなる。なんでこんなことをするんだ。
太ももを撫でられる。この寒いなか、半袖短パンで走り回っていた俺の体は、心底冷えきっていた。
クッと指で太ももにあるあおなじみを押され、呻き声をあげる。
「確かに健康だけど。怪我は常にしてるでしょ。ちゃんと湿布貼らないから、なかなか治らないんだよ。」
短パンの裾から手が入り込んでくる。指の腹が皮膚を滑る感触が気持ちいい。まだ触られもしないのに、既に勃起していた。
おそらく、俺が快楽に弱いことも、敏感なこともこの先生は知っているだろうから、今さら反応することに恥じらいはないけど。先生はここぞとばかりに苛めてくる。
「嫌なら、止める?」
ニヤニヤと楽しそうに俺の顔を眺める先生。ここで嫌と言えば、途端に不機嫌になり、更に酷いことをされてしまうだろう。
俺は首を横に振った。先生は上機嫌になり、行為を進める。
クラスにはもっと可愛い子がいる。男がいいなら、男でも可愛いい子も、カッコイイ奴もいる。なのに、なぜ自分なのか。
いろいろ考えたけど、止めた。巧妙に見えて、この先生は随分と単純だ。自分が楽しいか、つまらないか。ただそれだけ。
厄介な人に目をつけられてしまった。
残り一年以上もある学生生活。どうなるだろう。
今日もまた愛撫も適当に後ろに入れてくる。
痛いのは嫌だけど、とある事情で俺の前立腺は開発済みである。散々後ろを弄られてイかされ、精液まみれの布団で寝るのはもうごめんだ。
「漏らさないでよ」
不穏な言葉を投げ掛けられ、生暖かいものを注がれる。
「何してんだよ…」
そう睨むと、嬉しそうに俺の尻を捻る。
口の聞き方と一喝して、優しく腹を撫でてくる。
「君は今日から、僕のトイレだ」
相変わらず、頭のネジが二、三本飛んだ奴だ。俺は静かに溜め息をした。
大量の尿を注がれ、下腹部がギリギリと痛む。漏れないようにと、何かを尻に詰められベルトで固定された。しかもそのベルトは鍵つきで、先生の許可なしでは用も足せないことになる。アンタ学校になんてもん持ってきてんだよ。
「もう戻っていいよ」
先生は俺の上から移動し、机で何か業務的なことをし始めた。
放課後また来てね、と言い換えられるその言葉に、俺は何度目か分からない溜め息をついて、痛む腹をさすりなが授業へと戻っていった。
もちろん、大好きなサッカーも参加出来ず、足が痛いと踞って、眺めていた。
何で俺がこんな仕打ちされなきゃならないんだ。唯一、担任の先生が気にかけてくれて、教室に戻るときに身体を支えてくれたのが救いだった。
腹が痛い。
放課後。ようやくこの苦しみから逃れられると、急いで保健室へ向かった。しかし、保健室には誰もいなかった。
机の上には「お出掛け中です」とマフマフの絵つきの立て札が置いてある。
中学生相手にここまでするのか。
腹痛に伴い頭痛までしてきた。