命遊び

□葡萄
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好きだと伝えたことも
好きだと言われたことも
ない。

あったらあったで鬱陶しいけど

ないならないで鬱陶しい




つまり、僕はいいようのない葛藤に揺れていて
その葛藤が何なのか分からなくて
歯がゆい思いをしているってことさ







「ぅ、」

小さな喘ぎとも嗚咽ともとらえられる声が聞こえる。

僕に背を向けて壁に手をついて
震える足を必死に伸ばして
その場に崩れることを堪えている緑の青年。


僕はその青年の下半身を悪戯することに躍起になっていた。

いつもより乱暴に動く指に痛みを感じながらも何も言わずにただ我慢する青年・・・・・ティトレイ。


はじめの頃は僕の残虐心をそそり、わざと声をあげさせようと酷い抱き方をした。
でも、何をやっても出て来るのはくぐもった低い声で。
行為中は
普段の彼からは想像がつかないほど
大人しくて静かだ。

だんだん喘がさせることが億劫になってきて
今では自分だけが良くなるように腰を振るだけになっていた。



今だって久しぶりにティトレイの前を弄っているけど

愛撫とは程遠く
ただ子供が粘土で遊ぶような感覚でこねくり回しているだけ。


「気持ちいい?」

そう耳に囁くとティトレイは口を開けてまた閉じた。


言いたい事があるなら言えばいいのに


普段はズケズケと自分の思っていることを聞いてもいないのに一人でに話しだすクセして

何で行為の時はこうも自分の意志を表す事に抵抗を感じているのか。

ああ、いやだ。
じれったい。

遠慮しているつもりなのかい?
だとしたら酷く余計なお節介だよ。



「ティトレイ、いれるよ」


あまり慣らしていないそこに僕のものを添える。

ティトレイはフゥウゥッと長めのため息を吐いた。



肩が揺れているのが分かる

僕はその揺れの原因を探らず、ゆっくりと中に侵入していった。


「っくぅ・・・・・」

相変わらず漏れるのは空気と低音の声。

不快であることは、歯ぎしりの音で良くわかる。

ね。その音はわざとなの?
それとも無意識なの?




考えていると萎えてくるのでティトレイの背中に何度もキスをしながら腰を振る。


いくつもの赤い跡をつけるとなんとなく心が安堵する。いや、満足する、の方がしっくりくるかな。






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