命遊び
□安らぎ
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こんなこと、どんなに美人で、どんなに艷やなか女性でもしなかったことだ。それなのに、自分はそこへ吸い寄せられるように唇を触れさせる。
ひっ、と小さい悲鳴が聞こえてきた。僕は構わず、一番敏感なそこを舌先で弾いた。
ゆっくりとなぞるように舌先を動かすと、甘い吐息が上から漏れてくる。気持ちいい?とわざとらしく聞くと、良くないっ!とまるで自分自身に言い聞かせるように否定してきた。
「ここから、愛液がただ漏れだよ、ティトレイ」
濡れたそこを指でなぞると、透明な液がぬちゃ、と音をたてる。ゆっくり指を離すと、指先に絡みついたそれは細い糸を作り、プツリと途切れた。指先についたそれをペロリと舐めると、一部始終を黙ってみていたティトレイは顔を赤くする。
「なんで、」
ティトレイは狼狽えた様子で僕を見る。
「優しくすんだよっ…」
「痛くされたいの?」
「ちがっ!」
ティトレイは頭を左右に振る。
今の君は両手足をベットに梗塞され、一ヶ月近くこの地下牢に監禁されているのに、優しくされていると感じるなんて、おかしい。
一週間もすればこの玩具は動かなくなるだろうと思っていたけどなかなかしぶとい。
食事なんて一切与えていない。どうやらフォルスの力で光合成をしているようだ。
地下牢の壁の僅かな隙間から弦を伸ばし、葉を広げ太陽の光を吸う。
最初は邪魔したけど、それも飽きて今では放置している。この地下牢がある、古い塔の外壁は蔦だらけだ。
拷問も飽きて、かといって殺すのも惜しい。
そんなとき、フォルス能力者を性転換させる、なんの需要もない研究をしている奴がいることを知った。もちろん僕はティトレイをそいつに差し出した。
すると何と、ティトレイは見事に女になった。女になるとどうなるか、そんなの僕が男ならやることは決まってる。
無理矢理慣らしていないそこにねじ込むと、面白いくらいティトレイは嫌がって、泣いて、叫んだ。俺は男だぞと悲鳴をあげながら、乳房を揺らし、愛液と鮮血を漏らしながら抵抗した。
まあ、その強姦も二、三回で飽きたけど。
あとは性欲の塊のようなカジュマに襲わせたり、バイラスに襲わせたり、殆ど僕は観賞しているだけだったけど、ふと、普段なら思いもしらないことを思いついた。
優しく抱いてみようと。
もちろん、人に慈しみを持ちましょうなんて、道徳精神は僕には無く、本当にただの思いつきなのだけれど。
僕が牢屋に入るとティトレイは睨み付けてきた。その目も飽きたよ。だって、君は全然墜ちないんだもん。つまらない。
「サレ、俺は、」
「うん。添い寝しにきたよ」
「…は?」
ティトレイは言葉の意味が分からず、いつもの悪態をつくのを止めて目を丸くした。
僕は構わずティトレイの隣に横たわる。
首元に顔を埋めて鼻から息を吸い込むと、ハーブというよりは、道端の雑草の青臭い香りがした。光合成だけで行き長らえているんだ。人間の臭みが消えている。だから匂いに敏感な僕でもこいつとセックス出来た。
そうか、元が男でもすんなり抱けたのは、そんな理由か。
「なるほどね」
「なに一人で納得してんだよ。気持ちわりぃから離れろ」
嫌そうな目で僕を見詰めるティトレイ。僕が下腹を指の腹でなぞり、そのまま割れ目を軽く擦ると、ビクッと体が跳ねた。
その光景にクスリと笑うとティトレイは顔を真っ赤にさせる。
「これは、別にっ!」
「うん、分かったから」
そう言いながら揉みほぐすようにそこを何度も指の腹で擦ると、腰がビクッビクッと小刻みに揺れる。
「いっ、イッてない!」
聞きもしないのにそう叫ぶティトレイにまた分かったと小さく返して、指の動きに集中する。
しばらくしていると、愛液が溢れ、下のシーツにボタボタと滴り落ちる。今までどんなに激しくしてもこんなに濡れることはなかったのに。電気を流して潮を吹かせたことは何度もあったけど。
ただひたすら優しく擦るだけのその行為に、ティトレイが小さい喘ぎとともに、ガクッと腰を大きく浮かせた。膝がカタカタと小刻みに揺れ、愛液が溢れでて止まらない。
まだ指を入れてもないのに。
「も、止めて…」
ティトレイは涙を目尻にため、僕を見つめてくる。今まで睨むことしかなかったのに、その情けない表情にゾクッと背中に何かが走った。
指を離すとティトレイは安堵したのか、ハァ、と甘い息をつき、腰をおろした。
僕は添い寝から体を起こし、ティトレイの足を開かせる。
そこはヒクリ、ヒクリとひくついていて、牢屋の薄明かりに、反射して妖しく光沢を見せていた。
僕はそこに吸い寄せられるように顔を近づけ、唇を触れさせる。
クンニなんて。するのは人生で初めてだ。