歪な鎖

□ワイロ
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「・・・・・って、訳さ。お分りかな?」

「全然分からん。」


俺はこのお偉いさん
サレに説明を受けているところだった

もちろん内容は小難しく、理解などさっぱり出来ない。


「・・・・・・」

サレはため息をついて、俺をチラリと見る。

「君、頭悪いね」

実にその通りなんだが、その通りのことをサラリと言われると

「てめぇ!!」

ムカつくんだよ!!



掴み掛かろうとすると、
スルリと避けられ
俺は勢い余ってバッチーンと顔面を壁に打ち付けてしまった。


「いっつ・・・・・・」

痛がっている最中にサレに後頭部を掴まれ、そのまま壁に押し付けられた。

ゴツッと鈍い音がする。


「君、いい度胸だね。僕にケンカをふっかけるなんて・・・・・・」

グリグリと壁に押し付けられる。

凄い力だ。
工場で力仕事ばかりしているのに。こんな細い腕に押さえられるなんて・・・・・・

「馬鹿な君にも分かるように説明してあげる。

僕が命令すれば、ここの運搬通路を封鎖したり物価取り引きを制限したりすることだって可能なんだよ。



つまり、この工場の製品が売れないように

嫌がらせ出来るってこと」


「!!!ってめぇ!最低な奴だなぁ!」


「ほらほら。どうする?」



嫌な含み笑いが聞こえる


くそっ!とことん卑怯な奴だ!国はこんなことして何になるってんだ!!!




「・・・・・・でも、別に僕は王女にそこまで忠実じゃないし。そもそもこれは王女の意志ではないし。」

「・・・・・・?何を言ってんだ?」


「そうだな。若くて可愛い子。用意しなよ。」

「は?」


「それで今回のこと。見逃してあげる。」


サレはスッと俺の頭から手を離し、町の入り口で待っていると告げて工場から出ていった。















「所謂、ワイロという奴だな。」

戻ってきた工場長(機械のトラブルがあり、サレの説明を途中から抜け出していた) に俺は全部話した。


「若くて可愛い子・・・・・・どうだ、君のお姉さんなんかは」
「ふざけるな!!!確かに姉貴は世界一美人だけど・・・・あんな怪しさ抜群の男に預けられるか!」

だからと言って代わりを頼むとなると気が引ける。

あんな男にここの大切な人達を受け渡すなんて許されることではない。







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