long

□先輩ふたり
1ページ/5ページ

近頃の悩み、それは・・・



「あ」
廊下を通っていったのは、三年生の先輩たち。そのなかでも私が目で追っているのはふたりいた。

ひとりは、飛岡瑞樹さん。
もうひとりは、柚井遥さん。

飛岡さんは三年で一番かしこく、でもスポーツも万能、しかも副会長。
柚井さんは、クールで、あんまり愛想がよくはないけど、いつも飛岡さんといっしょにいる。
部活はもう引退しているけど、全国にまで行くほどのレベルだった。
(ソフト部だったと思う)

私は今、そのひとたちがどうしようもなく輝いて見える。
いつもいっしょにいるそのふたりが。

・・・ヤバイ意味で。
あれは・・・
いつだったかなあ・・・


そう、一週間前。
三年の笹山さんっていう委員会の人に用があった、私、石崎日代梨は三年の教室で二人を見かけた。
やっぱ輝いていたそのふたりは、私なんぞの存在は気にせず、二人で何か会話している。

――あの無愛想な柚井さんが笑顔!!
気になるウウ!!
「日代梨ちゃん聞いてる?」
「あ、はい」
とかいいつつ私はふたりに 釘付けだ。
しばらくすると、
ぐいっと飛岡さんが柚井さんの頭の後ろを手で引き寄せて、唇が触れるくらいの距離になった。
「―−−−−−−−!!!」
「どうしたのさ日代梨ちゃん」
「あ、あう・・・」
指を指してみたがもう二人は離れている。
柚井さんはなんだかほんのり赤らんで文句を言っているようにも見える。
「あああああの二人ってどうゆうかん・・・かん・・・」
あと一言が緊張して言い出せない・・・
「ああ、瑞樹と遥?」
あ。あっさり言っちゃいました。
「あのふたりってイイよねえ」
「ど、どういう意味で・・」
笹山さんは黒い眼鏡を指で押し上げて言う。
「耳貸して」
「は・・・」
そこで、耳打ちされた言葉。
それはー・・・
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ