脳や聴覚器官等に異常は無く、養育環境にも特に問題ないのに、言語能力が年齢や知能相応のレベルに達していない障害を言います。
一般的に子供は、1〜2歳には言葉の意味を理解して赤ちゃん言葉を話す様になります。1歳を過ぎても上手く話せない子供もいますが、2歳前後にはだいたいが話せる様になります。
しかし、この障害を持つと少々違って来ます。
この障害はタイプ別に4つに分けられます。

音韻障害
幼児期には発音出来ない音があっても、通常、学齢までにはすべての音が発音出来る様になりますが、音韻障害では年齢相応の発音が出来ずに話し方が幼く、オウム返しも見られます。
発音の誤りで多いのが音声の置き換えです。(さ行がた行になる)音声の省略(トラックがラックになる)子音の脱落(バナナがアナナになる)音声の歪曲(バスがバチュになる)音声の転倒(「おにぎり」が「おぎりに」)等です。
殆どが自然に直りますが、重症で8歳になっても誤った発音が目立つ場合は言語療法が必要です。

表出性言語障害
他人の言葉は理解出来、身振り等で自分の意志を伝える事も出来るのに、話す能力(表出能力)が年齢相応に発達していない状態を言います。
1〜2歳にかけては意味のある言葉を全く話さず、言葉や音を真似る事もしません。3歳を過ぎると話し出す様になりますが、発音が幼かったり間違いが多い、オウム返しをする等が目立ちます。多くは4歳までには短いフレーズを言える様になりますが、障害のない子供に比べて習得は遅くなります。
発達性協調運動障害や遺尿症(夜尿症)学習障害(LD)音韻障害等を伴う例が多く見られます。

受容ー表現混合性言語障害
受容能力(話し言葉の理解)と表現能力(話す能力)の両方に障害があり、他人の言葉あるいは身振り等による意思の伝達を理解出来ず、話す能力等により自分の意志を伝える能力も年齢相応のレベルに達していません。
症状は程度や年齢によって異なりますが、重度の場合は2歳になっても意味のある言葉をひとことも話さず、自分の名前を呼ばれても理解出来ずに反応しません。
周囲は難聴を疑いますが、非言語的な音には素早く注意を向けるので聞こえているのが分かります。
その後、話し始める様になると、音韻障害やオウム返しが目立ちます。軽度であれば7歳かそれ以降になるまで気づかない例が少なくありません。
受容ー表現混合性言語障害では学習障害や注意欠陥/多動性障害(ADHD)不安障害、鬱病性障害を伴う例が多くなっています。

吃音症(どもり)
一般的には「どもり」と表現され、話す時に語音が反復されたり、延ばして発音されたり、音声がつまる等、流暢に話せなくなる障害です。
2〜5歳位までに現れる事が多く、圧倒的に男児に多く見られます。
早期なら回復率は高く、軽度ならば軽快、悪化を繰り返しながら自然に治ってしまう事もあります。
しかし、慢性化すると正常に話す事がほとんどなくなり、口を開ける、目を閉じる、首や上半身を前後に動かす、顔を動かす、顔をしかめる、手足を振る、足で蹴る等の随伴症状も現れます。
思春期になると吃音が予想される特定の音や単語あるいは話す状況を避ける様になります。
随伴症状としては欲求不満や不安、鬱症状等も見られます。
また、音韻障害、表出性言語障害、受容ー表出混合性言語障害、注意欠陥/多動性障害等を伴う事もあります。
治っても再発したり、まれに成人後に現れます。
この障害の原因は解明せれていません。
治療法は言語療法が行われます。
必要に応じて精神的な治療が行われる事もあります。
吃音症で吃音に対する本人の自覚があり、苦痛が強い場合には言語訓練や心理的ケアも考慮されます。

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