18歳以前に発症し、知的機能(知能)が平均以下で日常生活、社会生活への適応に困難がある状態を精神遅滞と言います。
かつては知恵遅れ、精神薄弱等と呼ばれていましたが、医学的には様々な病気の一症状です。
原因疾患が特定されれば、その病名が付けられます。
発育段階での現れ方を見ると、乳児期では動きや歩き方、言葉に遅れが見られますが、両親や周囲がこの時期に気付く事は少ないです。
気付き始めるのは2〜3歳で、言葉が出ない・増えない、話しかけても反応が乏しい、オウム返しが多い、排泄等のしつけがしにくいといった事がきっかけとなっています。
行動面では落ち着きが無く、一つの遊びや遊具に集中出来ない、友達と一緒に遊べない、こだわりが強く行動や遊びを常に一定のパターンにしたがる、興味を広げようとせず同じ事ばかりする、といった事が上げられます。
病気によっては、手をひらひらさせる、手などを噛む、体を揺する、くるくる回る、頭を打ち付ける等異常な行動や行動の繰り返しが見られる事があります。
感情面では親から離れられない、かんしゃくを起こす、気分が変わりやすい等があります。この他、睡眠障害や痙攣(てんかん)を伴う例もあります。
学童期では、言葉に加え、読み・書き・計算も遅れがちになりますが、軽度の場合、低学年では気付かない場合もあります。日常生活では、行動や動作がぎこちなく時間が掛かる、運動機能の遅れ、不器用、集団行動が取れない、怒りっぽく暴力をふるう等が見られます。
思春期になると、子供は自我に目覚めて、家族より友達とのつきあいや集団生活をするようになるものですが、精神遅滞の場合、友達といるより親や大人の影響を受けやすく、素直で従順です。
課題が達成できた時等に誉めると、気分をよくし、自分の役割を理解して活発になります。
しかし、逆に難しい課題に直面すると、気分が沈んだり、暴力等の問題行動を起こす場合もあります。
症状は知能の遅れ度合いによっても様々です。
原因として、先天性代謝異常(フェニルケトン尿症、ガラクトース血尿、ホモシスチン尿症等)
染色体異常(ダウン症候群、クラインフェルター症候群、XXX症候群等)脳の奇形(水頭症、小脳髄症等)誕生前後や乳幼児期の脳障害、感染や中毒、発育・栄養障害、後天性脳疾患、不適切な環境等が上げられますが、原因不明場合も多くあります。原因となる病気や合併症の方が先に診断され、後で精神遅滞が明らかになる場合もあります。

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