紅き蝶 白き魂2

□38話
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そんなバカップルぶりを見ていた美朱はニヤニヤ笑う。

常に無表情に近い姉をこうも簡単に破顔させる柳宿と、姉御肌(?)で常に自信に満ちている柳宿をうろたえさせる姉。

そんな2人を観察していると本当に面白い。お互いベタ惚れなのだ。

2人が揃うと2人の新しい一面を知る。それが美朱にとっては嬉しくて、やっぱり浅葱たちはお互いがいなければいけないのだと思うのだ。

でもさすがに、この空気の中一人でいるのは居た堪れない。

少しだけ現実逃避に近い感じで何気なく道を行きかう人を眺めていると、そこに見慣れた後ろ姿を見つけ彼女の目が輝いた。


「おかえり鬼宿!!」


ピンクのオーラから離れダッシュで俯き加減の鬼宿の背中に抱きつく。

予期していなかった衝撃に鬼宿は顔面から雪道に倒れピクピクと痙攣してしまった。


「あれ?鬼宿もしかして眠いの?」

「そんな訳あるかっ!おい美朱!いきなり後ろから抱きつくんじゃねぇ!!」

「だって嬉しかったんだもん!無事に帰ってきてよかった!どーだった?神座宝のこと何か分かった?」

「――――…」

「ん?」


急に黙った鬼宿に問いかけるように美朱は小首を傾げた。

鬼宿は一瞬言葉を詰まらせたものの頷き立ちあがる。

自分に気が付き後方から駆けてくる浅葱達を見つけた鬼宿は、一瞬美朱を見た後2人に向かって歩き出した。

それを不思議そうに見ながらも、美朱は特に気にすることなくついて行った。

鬼宿が合流し彼は元学者から聞いたと言う話を三人にも話した。

どうやらあの石碑には玄武の巫女と玄武七星士が神座宝を「黒山」という山に隠した事と、それを見つけられるのは同じ七星士なのだと書いていあったらしい。

鬼宿は有力な手掛かりを得た事を井宿達に知らせようと柳宿に照明弾の事を聞いたが、青龍七星士の襲撃にあい照明弾で撃退した事を手短に話した。

結局もう日も暮れ始めていることもあり、今日の所は宿を取り明日探しだす事になった。






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