ANOTHER GAME
□隣で、君は。
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遠足という名の社会科見学。高校にもなってそんなの無いんじゃないかと正直思う。
大して興味もない所を見学させられ、みんなお疲れモード。
バスに揺られて眠る人の姿が多く見える。
あたしの隣にはもちろん橘が座っていて。
まあこれもバス席を決めるとき、勝手に隣にさせられたんだけど。
最初はもう、この、バス特有の密着感でドキドキしっぱなしだった。
何かと橘はちょっかい出してくるから、さらに心拍数が上がる。
けど帰りはみんなと同様、橘もお疲れ気味。
口数もどちらともなく減っていった。
後ろを振り返れば美怜と姉川君のラブラブっぷりが伺える。
………正直、羨ましい。
「なあ。」
「な……何?」
「寄っ掛かってもいいか?」
「え……あ、うん。」
いつもだったらそんなことわざわざ言わずに問答無用なくせに。
改めてそういう風に聞かれれば、断ることなんか出来やしない。
それが好きな人なら尚更。
「………おやすみ、雅。」
「お、おやすみ。」
……なぁんだ、寝ちゃうのか。
少し寂しく、残念に思っている自分がいる。
それに、つまんない。
このままじゃ、身動き出来ないし何も出来ない。
どうせ橘寝てるし………いいよね。
それをいいことに、少し高い位置にある橘の肩に頭を預け、静かに瞳を閉じた。
そしてバスに揺られながら見た夢は、橘とデートをし、キスをするというなんとも幸せな夢であった。
しかし、あたし達が眠る姿を、クラスのみんなに激写されていたことを後に知ることとなる。
end
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