ANOTHER GAME
□魅惑の夏服
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「………あ。」
ある日の帰り道、あたしはふと足を止めた。
目に入ったのは、夏服のセーラーを着た中学生。
あたしと同じ中学の制服。
「……どうした?」
急に止まったあたしにつられて翔悟も足を止める。
「いや……、そういえば衣替えの季節なんだなって。」
ほら、と言ってセーラーを着た女の子を指さす。
セーラーは夏服と冬服がはっきりと分かれているけれど、ブレザーだと天気に応じて脱ぎ着するだけだからあんまり衣替えという気がしない。
「懐かしいな………。」
多分、今でもクローゼットにしまってあるはず。
「セーラーだったわけ?」
「うん。あの制服だった。」
そしてあたしは、頷いてしまったことを後悔することとなる。
「へぇ……。そうなんだ。」
「……!」
にやりと黒い笑みを浮かべてあたしを見る翔悟。
ものすっごく嫌な予感。
「今度着てみろよ。」
ほら、ね。
こうなったら絶対に言い出すと思った。
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