ANOTHER GAME

□甘い悪戯
1ページ/2ページ











「………なあ。」



現在自習の時間。


みんな課題に取り組んだり、騒いだりと様々。



いつも賑やかな一組は自習ということに喜々としといた。


提出課題を終えて一息したところで、珍しく起きている橘が声をかけてきた。


珍しいこともあるもんだなと思いつつも、あたしの心臓は高鳴った。



「な……何?」


「今日が何日か知ってるか?」


「今日って……10月31日でしょ?」


何でそんなことを聞くのだろうと思いつつも、あたしは答える。


「………なあ。」


「だから何よ。」


「今日部活無いのか?」

「無いけど………。」



本当に今日はどうしたんだろう。部活のことまで聞いてくるなんて。



「今日はハロウィンだろうが。何で部活無いんだよ。」


「そんなの知らないわよ。部活は一昨日だったのよ。」


「じゃあ“trick or treat”って知ってるか?」

「それって“お菓子をくれなきゃイタズラするぞ”ってやつだよね…?」


「……正解。」


あたしが答えた瞬間、橘の口元がつり上がるのが見えた。


「な………何なの?」


じりじりと距離を詰められて、一番後ろの窓側ということもあり、逃げ場がない。


そして、すっ…と橘の手かあたしの頬に触れる。


「ちょっ…橘!意味わかんないし!」


人の気も知らないでいきなりこういうことをしてくるから、本当に質の悪い奴だと思う。





.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ