ANOTHER GAME
□甘い悪戯
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「………なあ。」
現在自習の時間。
みんな課題に取り組んだり、騒いだりと様々。
いつも賑やかな一組は自習ということに喜々としといた。
提出課題を終えて一息したところで、珍しく起きている橘が声をかけてきた。
珍しいこともあるもんだなと思いつつも、あたしの心臓は高鳴った。
「な……何?」
「今日が何日か知ってるか?」
「今日って……10月31日でしょ?」
何でそんなことを聞くのだろうと思いつつも、あたしは答える。
「………なあ。」
「だから何よ。」
「今日部活無いのか?」
「無いけど………。」
本当に今日はどうしたんだろう。部活のことまで聞いてくるなんて。
「今日はハロウィンだろうが。何で部活無いんだよ。」
「そんなの知らないわよ。部活は一昨日だったのよ。」
「じゃあ“trick or treat”って知ってるか?」
「それって“お菓子をくれなきゃイタズラするぞ”ってやつだよね…?」
「……正解。」
あたしが答えた瞬間、橘の口元がつり上がるのが見えた。
「な………何なの?」
じりじりと距離を詰められて、一番後ろの窓側ということもあり、逃げ場がない。
そして、すっ…と橘の手かあたしの頬に触れる。
「ちょっ…橘!意味わかんないし!」
人の気も知らないでいきなりこういうことをしてくるから、本当に質の悪い奴だと思う。
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