ANOTHER GAME

□魅惑の夏服
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「なっ……何でよ!」



「見たいから。」



「だめ!」



「何で。」



「翔悟の場合、見るだけじゃないから。」



もしあたしがセーラーを着た場合、どうなるかくらい予想がつく。




「当たり前だろ?それがロマンだ。」



「そんなロマンは要りません!!」



ほんと、信じらんない……!



こういう所がなければ完璧なのに……。




「とにかく、明日持って来いよ?」



いつの間にか明日着ることになっちゃってるし………。



「無理!だってもう着ないから処分しちゃったし。」



有無を言わさぬ翔悟の口調に、あたしはとっさに嘘をついた。



「ふーん。それが本当か今からお前の家上がってクローゼット覗くからな。」



「なっ……!」



そして翔悟は止めるのも聞かずに繋いでいた手を解き、あたしの家へとスタスタ歩いていく。



ヤバい!そんなことになったら嘘がバレてしまう。



翔悟のことだから、一度言ったら絶対にやるだろう。



それだったら




「まっ…待って!分かったから!!明日持ってくから!!」



それだったら今正直に言ってしまった方がマシだ。




「………やっぱり嘘だったか。」



後を追いかけてぎゅっと腕にしがみつくと、翔悟は勝ち誇ったような笑みを向けた。



「ご、ごめん……。」



「じゃあ決まりな?」



「きっ……着るだけだからね!」



「明日が楽しみだな。」


最早あたしの声は届いてない。



上機嫌な翔悟に対し、あたしの心は嫌な予感でいっぱいだった。





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