弐拾萬打感謝企画

□日々成長
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【日々成長:日ごと発展すること】


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夜の10時少し前。時計を確認し、ひんやりとした屋根へ足をおろす。部屋の明かりを頼りに5歩先にある真っ暗な"部屋"へ向かうと鍵の掛かっていない窓から室内へ足を踏み入れた。部屋の主はもうすぐ帰宅するはず。慣れたように部屋の明かりをつけると、キレーなオネェサマが一糸纏わぬ姿でポーズを決める雑誌を引き出した。

主が戻った部屋の中にはお風呂上がり特有のふわふわとした香り。えっちぃ本を枕にうつ伏せで寝入ってしまったアタシに「そんな本見るぐらいなら試してみろよ」と声を掛けたモトチカ。そのまま覆い被さると彼女の枕になっていたエロ本を床に放り投げた。意識は飛んでいたけどもちろん完全に寝入っていたワケじゃない。気付いた時には目を開けるタイミングを、声を出すタイミングを逃していただけだ。

寝間着変わりにしていたTシャツの裾から入る大きな手。背中をするすると撫で上げる感触に思わず漏れてしまいそうになった声を慌てて塞いだ。
「別に抑えなくても良いんじゃねぇか?」
「…、っ」
「まぁ…良いけどよ」
モトチカにはアタシが起きてたことぐらいわかっているらしい。肌を直接這う感触と、不規則に鳴らされるリップ音。
「チカ、」
「んー?」
「も、…やめ、っ」
「"実践"が一番早ェ」
「やっ…」
後ろから抱きかかえるようにお腹に回された手の平、唇の感触が今度は背中に這っていく。だけど、こういう時ってどう反応したらいいのか未だに良く分からない。

小さい頃からずっと一緒だったけど、関係が変わったのはほんの数カ月前。中学、高校と背が伸びはじめた頃から女の子たちの注目を浴び始めたモトチカ。いつか知らない誰かのものになっちゃうんじゃないかと思っていたのに、モトチカは他の人を選ぶことはなかった。それなのにアタシはいつまでも甘え過ぎてる。

「ち、"ちか兄"…っ」
「…ん?」
「くすぐ、ったい」
名前を呼んで横に並びたいのに横に並ぶことを怖がってる。"ちか兄"。そう呼べばアタシの方に来てくれて、アタシに甘くなるのをわかってて呼んでしまうんだ。

「…今日はここまでな」
「ごめ…」
「良いってことよ」
アタシの横に寝転がり、顔をあげないアタシの体を抱き寄せたアナタは一体どこまで優しいんだろう。
「ちか兄…」
「あ?」
「あのね…」
「…もう、寝ろ」
「、おやすみなさい…っ」
「おう。おやすみ」
頭の中で何度も"ごめんね"と謝ってしまう。勇気を出せない自分があまりにも情けなくて、泣きたくなる気持ちを抑えるように首の下に敷かれた"ちか兄"の腕に縋って今日も目を閉じるしかなかった。


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◇付き合ってるけどなかなか先に進めない、そろそろ進展させたいと考えてる的お話(なまこ様よりリク)
…あれ、こいつら付きあってたんだ。って思った人手ぇあげてください。…。一ノ瀬、お前まで上げてんじゃねぇよ(←)急展開すんません。なまこ様、進展できてなくてすんませんwwwまたこの先のシリーズとしてお付き合いください。企画参加ありがとうございました!



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