弐拾萬打感謝企画

□胡蝶之夢
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【胡蝶之夢:自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか】


・・・・・
「おかえりー」
「何してんだテメェ…」
いつもバイトから帰宅するのは午後10時を過ぎる。それから親が作ってくれてた夕飯を食べ、シャワーを浴びたりすれば自室に戻るのは大体11時。風呂から出て、さぁ寝るかと自室の扉を開けてみれば、親だってほとんど足を踏み入れることのないハズの部屋に
「おるすばん?」
「必要ねェよ」
…部屋のほとんどを占領するベッドの上にガキが一匹、寝転がっていた。

「ばいと、忙しかったの?」
「関係無ェだろ」
「だって遅いんだもん」
「来るとか言ってなかったじゃねぇか」
幼い頃から一緒にいる隣の家のガキ。"ガキ"つっても年齢的には1つしか変わらないが見た目はさっさと成長を止めてしまったコイツと健康的に育った俺の差は大きい。ただ俺に対して口の利き方が最悪なのは俺が高校を卒業した年になっても何ら変わっちゃいなかった。

「邪魔だ。もっと詰めろ」
コイツが転がったままのベッドに腰掛け、首に掛けたタオルでワシワシ髪の水気をふき取っていく…自分が帰宅したときに親が何も言わなかった辺り、コイツはまた勝手に窓から入ってきたってことだろう。窓のすぐ先に見える"コイツの部屋"に目をやれば、主がいないハズなのに明々と灯りがついたままだった。

「チカ」
「ぁあ?」
「…エッチィ本見つけた」
「何してんだよ」
「もっとちゃんと隠しなよ」
「そんな必要ねぇだろ」
別に照れる必要もない。部屋にはコイツぐらいしか入らないしこんなことも初めてじゃない。未だに寝転がりながら俺のエロ本をぺらぺらめくるコイツの姿ももう見慣れた。と言うか、だぼだぼのスウェットに、小学生のように一括りにされた前髪…こんな夜更けに男の部屋に来てるというのに、コイツには全く"色気"が見当たらない。
「うわぁこの人乳でかーい」
「お前ムネ無ェもんな」
「うるさい」
「育ててやろうか?」
「ばか。へんたい。」
こんな会話も日常茶飯事。それでもコイツには全く引く様子もなくて、仕方なく未だ離そうとしないエロ本を取り上げてベッドの脇に放り投げた

「…なぁ」
「んー?」
…。
「今日はドコで寝るつもりだ?」
「……、こっち」
どれだけ眠いのを我慢していたんだろう。コイツの目は少し赤くなり、ついでに欠伸でもしたんだろうか、目尻にはご丁寧に涙まで溜まっていやがった。

(―…ったく…)
足元に丸まっていたコイツ専用でもある毛布をばさり掛けてやる。なんとなく会いたくなった、とかなんとなく遊びにきた、とかコイツが気まぐれなのも昔から何ら変わっちゃいない。ただ、その気まぐれな欲を満たす為だけに、今日は俺が帰ってくるまで必死で起きてたってことなんだろう。毛布にくるまりながらしぱしぱと瞬きをするコイツは、もう今すぐにでも寝てしまいそうだった。

「ちか兄…」
「なに」
「いっしょに、寝よう」
「…先寝ろ。俺ァもうちょっと起きてっから」
「んぅ」
「な?」
寝る直前だけ素直になるコイツに、俺が一体どれだけ振り回されてると思ってるのか。クセになるぞ、と梳いてやった前髪をするすると撫で、毛布を少し掛けなおしてやれば眠そうに瞬かせた瞼がようやく素直に閉じていく。
「…おやすみ」
「おー」
二人で寝るには、
少々狭いベッドの上
すーすーと寝息を立て始めた可愛いくない"妹"の姿に俺は、今日も眠れない夜を過ごすしかないのだった。

・・・・・
◇つんでれヒロインの話(←)(菟菟様よりリク)

え。菟菟さまってツンデレでしょ?(謝れ←)

幼馴染設定って個人的にだいすきです(話変えたw)屋根で部屋行き来とかちょう好きです。妄想をこれでもかってほどにぶち込んだお話のはじまりです(←)菟菟さま、シリーズって形でお付き合いいただけたら幸いです(無理やりだw)改めまして企画参加ありがとうございました!!



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