弐拾萬打感謝企画

□春桜咲乱
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【春桜咲乱:造語】


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「…ここにいたか」
彼女と過ごす放課後、いつの頃からか予定は自然と決まっていた。二人で会うためには人気のなくなった放課後が一番都合がいい。俺の仕事が終わるまで彼女を待たせてはいるものの、呼び寄せればすぐに俺の元へと来てくれる。

今日もそのつもりでメールを飛ばしたのに、しばらく待っても姿を見せるどころか返信すらも返ってこない。少し心配になり彼女がいる場所へと足を運んでみた。しかし目的の人物はそこにはおらず、次に彼女の教室まで足を伸ばしてみれば、薄暗い教室の一番後ろ、自分のカバンを枕代わりにくぅくぅと寝息をたてる彼女の姿をようやく見つけることができた。

(……ったく)
ほっと安心したのと同時に、こんな無防備な姿を見れたことに思わず口元が緩んでしまう。外がもう少し暗くなればここにも戸締りが来てしまうだろうが、ほんの少しだけこの時間を味わいたくて静かに彼女の前の席に座り込んだ。

(待ちくたびれたよな…)
今日はいつもよりも仕事が長引いてしまった。きっと彼女は俺からの連絡をずっと待っていたんだろう。カバンに突っ伏している分、寝顔は少ししか拝めないが、しっかりと握り締められた携帯がそれを物語っている。
彼女の頬にかかる髪を耳にかけてやればようやく閉じられた瞼が顔を出した。


(こいつは、この先一体どうするんだろう)
ぼんやりと思うのは、確実に近づいてくる終わりのこと。そろそろ進路を現実めいたものにしなきゃならないし、こいつだけに限らず意識を持たせなくてはいけない。

だけど俺は、こいつの背中を押してやることができるんだろうか。普通に男女が出会ったところで別れが来てしまうのは仕方がないことだとはもちろん思う。

彼女の髪を梳くように指を滑らせれば、あまりにも柔らかいその感触に自分を誤魔化すことがもう不可能にも思えてしまった。



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◇生徒の進路を考え思いふける元親先生(紫衣様よりリク)

元親先生目線って好きだなー(´ω`*)ヒロインちゃんが選ぶ進路に寄っては遠距離もありえるし、もしかしたら別れだってあるかもしれない。うん。先生には本気で悩んで欲しいですww紫衣さま、企画参加ありがとうございました!!




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