弐拾萬打感謝企画

□掌中之珠
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【掌中之珠:最愛のもの(子)】


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季節が秋めいてきた頃、我が家に家族が一人増えました。
その日を思い返せば、普段はすごく気丈な嫁が想像以上に苦しんでいて"なんで俺はこんな辛いことさせてんだろう"なんて情けないことばかりを考えていた気がする。そして、その時の彼女はというと、せいぜい手を握るぐらいしか出来なかった俺に対して"もっと気の利いたことでも言え"とか"背中ぐらいさすれよ"とか、…アタマの中でずっと考えていたんだと退院の日にボヤいていた。

その日からしばらく経ち、我が家は家族3人で初めての本格的な冬を迎える。昼夜を問うことの無い慣れない育児に、彼女は全力で頑張っていると思う。もともと真面目な性格だからというのもあると思うが、どう手を抜いたらいいのかわからないと言う風にも俺には見えている。
"少しぐらいなら見てっから"
そう、彼女に告げたのは今から1時間ほど前のこと。仕事に行くにはまだ時間もあるし、何よりあまり寝ていない彼女を少しでも寝かせてやりたくて思わず出てきた言葉だった。
(…意外と起きねェもんだな…)
ほんとに"見てるだけ"の1時間。彼女は布団に入った瞬間に寝入ってしまったが、何故か我が子まで同じように爆睡中で…俺はその子の横で、たまにむにゃむにゃ動く寝顔を飽きもせずにじぃっと見てるだけなのだ。
(…っつーか…ミルクあげたりとかあるんじゃねぇの?…おむつ替えたりとかはいいのかよ?)
頭の中でぐずった時の段取りを一通り考えていたのに、良いのか悪いのか未だに実践できていない。
(…俺じゃイヤってことか?)
ぐっすり眠るわが子の柔らかい髪を指でするする撫でながらそんなことを考える。だけど、一向に起きる気配も見せずむしろ、傍に誰かがいることに安心しきっているのかむにゃむにゃと再び口許を動かす姿に思わず自分の頬が緩むのを感じていた。

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◇パパ親の大事なものの話。(夏樹様よりリク)

参考:友人の話。(笑)だって一ノ瀬出産育児未経験だしwえぇと、この"二人の話"でいつ「家族が増えた」って入れようかずっと考えていたことでした。それを今回がっつり入れさせていただきました(笑)夏樹さま、きっかけをありがとうございました(何)そして改めまして企画参加ありがとうございました!!


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