弐拾萬打感謝企画

□秋桜愛唄
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【秋桜愛唄:秋桜(花言葉)少女の純真、真心】

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「体調が悪いので休む」、という担任に入った連絡。当たり前のようにその担任から渡されたプリントを持ち仕事終わりに学校から直接彼女の家に向かった。顔を見て様子を見て、大丈夫そうなら飯と薬を与えてそのまま帰宅するつもりだったのだが、いざ来てみれば真っ暗な部屋に布団の中で浅く呼吸を繰り返す彼女がいて、今日ほど合い鍵を持っていて良かったと思ったことはなかった。

「…」
「お、目ぇ覚めたか?」
あれから1時間と少し。あのあと、車を飛ばして一度自宅に戻った。理由はもちろん彼女の看病をする準備のため。モノの少ない彼女の部屋では常備薬すらなく一度帰るしかなかったのだ。自宅から持ってきたのは常備薬と毛布と保冷剤。寒気がするのか布団の中に潜り込み体を小さくしていた彼女。そこに更に毛布を掛け、タオルに包んだ小さな保冷剤を頬に充ててやればようやく落ち着いたように眠りに落ちたのだ。

「…?」
「とりあえず熱計ってくれ」
「ぅ…」
うっすらと目を開けた彼女の傍らに座り、額にへばりついた髪をはらってやる。黙って体温計を受け取ったがその目はあまり焦点があってるようには見えなかった。

「水は?飲めそうか?」
「…ううん」
「っつってもよ、水分は取ってもらわねェと」
ゆっくり瞬きをする彼女は怠慢な動きで音が鳴った体温計を俺に差し出す。表示されていた数字は案の定安心出来るものではなく、とりあえず水分と薬を取らせねばと枕元から立ち上がった。

「せんせ…」
「んー?」
薬を飲ませたあと、微睡んだ様子を見せていた彼女が布団の中でもぞもぞと動く。相変わらず目の焦点は合っていないが、毛布の隙間からすっかり熱を持った保冷剤を俺の方に差し出してきた。
「…あげる」
「もう必要ねぇか?」
「…これ、あついんだもん」
あぁそうか。この"ひんやり"とした保冷剤。
「もう一個あるから持ってきてやろうか?」
「…うん」
無いよりはマシだと思って持ってきたが本人のお気には召したらしい。普段はあまり我が儘言わない彼女が小さなことだけど俺に訴えてくれた。冷えたモノと入れ替えたタオルを「ホラ」と渡してやれば安心したようにそれを頬に充てゆっくりと目を閉じる。

俺と並ぼうと毎日必死に背伸びをして気を使っている彼女。"恋人らしい"…とは正直、まだ言えなくて僅かに見えない距離を感じていた。だけど今日は、ほんの少しだけ我が儘を言う彼女にその"少しの分"だけ近付けたような…気がしていた。



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◇元親先生のお話で。(杏梨様よりリク)

設定がなかったので好き放題書かせていただきました@第2弾(←)
この話、元親先生に看病されてんのか否かがよく分かりませんが(←)何かしら想像していただけたら幸いです(丸投げw)。つーかタイトルが全く生かせてなくてすんませんorzって思ってたら花言葉に救われましたwww杏梨さま、またシリーズとしてお付き合いいただければ幸いです。企画参加ありがとうございました!!



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