雨音が聞こえる

□五
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あたしとツナの手当てが終わるのを待って、リボーンくんが口火を切った。


「ディーノの情報によると、今倒した城島犬は主要メンバーの1人だな」


リボーンくんのちっちゃな手には1枚の紙がにぎられていて
その紙は何?って聞く前に、リボーンくんはツナにそれを手渡した。



「この写真を見ろ
真ん中にうっつてるのが六道骸だ」


「こ、これが六道骸…」



ツナの横から写真をのぞきこむ。

そこには、帽子の男子と城島の見たことのある2人にはさまれて、いかにも歴戦の戦士然とした男の人がうつっていた。


見た瞬間『強そう』って思ったけど、
あたしの口からとびだしたのはほかの感想だった。


『意外と六道骸って年上なんだね〜』

「えっ そっち!?」


そうこぼしたあたしをツナが心底驚いた顔をして見る。
あたしは照れかくし半分で笑いながらそれにこたえる。


『いや、だってホラ
黒曜生だっていうからてっきり同い年ぐらいかなーって』


「今の時代 年齢詐称なんて日常茶飯事よ」


『そーなんですか?
…じゃあ獄寺も実は20歳ぐらいだったりして』


「なわけねーだろ!」


「は、はは……」



「ププッ めでてー連中だぜ!!」

「!」


一瞬なごんだ空気をぶちこわすような笑いまじりの声。

その声が さっきまで気絶してたはずの城島のものだってことにその場の全員が気づいて、
みんな集まって穴から下をのぞきこむ。


すると、光の輪の中に、城島が岩にしばりつけられたままこっちを見上げる姿があった。


「ひっかかったなー おまえ達に口割らねーためにオポッサムチャンネル使ったんだよん!!
でも、よーく考えてみたら、おまえ達に何言っても問題ないじゃん!!」


一呼吸分の間の後


「ぜってー骸さんは倒せねーからな!!
全員、顔見る前におっ死ぬびょーん!!」

誇らしげに城島は言う。

そのままゲラゲラと笑う城島に反応したのが獄寺とビアンキさん。


「んだと 砂まくぞコラ!!」
「甘いわハヤト」

「あ」

ビアンキさんがむぞうさに岩を落とすと、鈍い音とともに城島の悲鳴。
姉弟攻撃で城島は今度こそ気絶したみたいだった。


「だが奴のいうとおり六道骸をあなどらねーほうがいいぞ
奴は幾度となくマフィアや警察によって絶体絶命の危機に陥ってるんだ
だがその度に人を殺してそれをくぐりぬけてきたんだ
脱獄も死刑執行前日だったしな」

「この人何してきたのーー!?
六道骸、やっぱ怖えーー!」



ツナの絶叫が黒曜ランドに響き渡った。













「んじゃ気を取り直してそろそろ行くぞ」

「了解っス!」

「全員何か見つけたらすぐに声をあげるのよ」



ぞろぞろとみんなで固まって移動するその最後尾で、今は何の声も聞こえない穴をふりかえる。



城島はあたしに負けたけど、彼はそれでも「六道骸は負けない」と言う。


六道について熱っぽく語ってた城島の表情が、それがハッタリじゃないことを十分なほど伝えていた。




『それでも、勝つのはあたしたちだよ』



何の反応もない穴に向かってつぶやくと、身をひるがえしてすこし遠くなったみんなの背中を追いかけた。






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