雨音が聞こえる

□三
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何年か前の土砂崩れで廃業した黒曜ヘルシーランドの前に立つ。


園内はあちこち土砂でうもれてすたれきっていて、いかにも何か出てきそうな雰囲気だ。




「そのうち行ってみよう」って言ってる間につぶれちゃったから、あたしがここに来るのははじめてのことだった。



来たときにはすでにつぶれてたから存在自体知らなかったのが獄寺とビアンキさん、リボーンくん。




リボーンくんは一応色々調べてきたっぽいけど、園内の地図は手に入らなかったらしい。







「あ、オレ ここに来たことある!」



そんなわけで、せっかくの乗り込みだけど 土地勘が働くのはツナしかいなかった。









今日のマフィアごっこのメンバーは
ツナ
獄寺
リボーンくん
ビアンキさん
そして、あたし。


獄寺は大ケガしたはずなんだけどケロッとした顔で戻ってきてあたしたちを驚かせた。

シャマルさんの治療が効いたのかな?







さて、
あたしたちがこうして黒曜ランドに来たのにはわけがある。



ここは 今日の昼 獄寺を襲った黒曜中の男子やその人たちの親玉の六道骸がいる場所なんだとか。


ツナを狙う彼らは、今日まではツナの顔を知らなかったらしい。


だからとりあえず強い人を狙い撃ちしてツナの関係者やツナを引っ張りだそうとしてたんだけど…そのもくろみは見事成功する。



今日の昼に獄寺がケンカしてたのがまさにその作戦だったんだ。



ツナの顔を知った彼らはこれからツナをピンポイントで狙ってくるはず。

そんなのが続けばいずれやられることになるのは目に見えてて。


なら やられる前に倒しちゃえ!
というわけでこの5人で黒曜ランドに乗り込みにきたわけだ。



ちなみに、これ全部リボーンくんの受け売りね。





そのリボーンくんが言うには、ボスのムクロを倒せばとりあえずは落ち着くだろうとのこと。



だからあたしたちがねらうはボスの六道骸




気付けばお互いのボスをねらう対等な条件でのたたかいになっていた。






こういうところがリボーンくんのマフィアごっこらしいよな〜











ガシャリ、



さびきった門は開かない。

しっかりかけられた錠前はダミーではないらしい。


そうなると ここから人は出入りしてないってことになる。



錠前は獄寺にまかせて他に入り口がないか簡単にまわりを見たけど、見えるのは高い塀ばかりだった。



「どーします?」


門をチェックしてた獄寺がツナに訊く。



けれど、ツナが返事をする前にしびれをきらしたビアンキさんが前に出た


「正面突破よ」



その手の上には、毒々しい色の煙を出す、さくらもちのよーな何かがあった。



「ポイズン・クッキング 溶解さくらもち」




錠前に押しつけられたさくらもちがみるみる頑丈そうな錠前を溶かしていく…



…このさくらもち、便利だけど食べたくはないなぁ…







ものの数分で錠前は溶けおちた。



「開いたわ」



「…ポイズンクッキングすげー」


『さっすがビアンキさん』



言うと、お世辞はいいからさっさと行くわよ、と睨み付けられた



『え』




あれ もしかしてあたしってビアンキさんに敵認定されてる?




そう考えつつ、早足で門の中に入っていくビアンキさんの背中をみんなで追いかけた。












門前に現れた彼らを高台から監視していた"獣"は、自らの標的である少女が園内に足を踏み入れたのを見届けた後、何処かに走り去っていった。







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