雨音が聞こえる

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『やっ ツナ!』



「みっみんな!!?
公民館で何してんの!?」





例によって例のごとく、今日もツナにはみんなで遊ぶってことをつたえられてなかったみたいだ。



よく一緒にいるメンツがそろう室内をあぜんと見回してる。








ツナは不思議そうな顔をした。




ツナの視線は、
ときおり「きょくげーん!!」って叫ぶ笹川センパイや
悩ましげに頭をおさえつつセリフを覚えよーとしてるハルや
体育座りで闘志を燃やすランボや
文字どおりカチコチになって歩いてるイーピンや
部屋の奥で何やらぶつぶつ言ってる獄寺
を行ったりきたりする。





みんなの気持ちはわかるけど これだけ反応がバラバラだとちょっと変な感じだなーっ






「何なの この異様な雰囲気は…?」



事情がのみこめず、ツナは訝しげにあたしたちを見る。


そこにひこ星っぽい格好のリボーンくんが声をかけた。




「奴らの様子がおかしいのは当然だぞ

今日はボンゴレ的七夕大会だからな」



「なんだそりゃー!」




リボーンくんの誕生日パーティだっけ、
ルールはあれとよく似てる。


ちょっと違うのは 出し物を七夕にちなんだものにするってことと
審査員は町内のお年寄りの人たちだってこと。





顔馴染みの人もけっこういるね










一位の人は短冊にかいた願いがかなうんだってところまで説明されて、



「うそーっ!?
叶っちゃうのー!?」



リボーンくんの説明に大きく反応をかえすツナ。












やっぱ願いがかなうってなるとみんなやる気でるな〜っ




マフィアごっこはかなり本格的だから もしかすると…ってなるしね。














ま、あたしは願いは自力でかなえるつもりだから 今日は気楽にいかせてもらうつもり。




始まりの時間がちかくなって緊張でますます変な動きをはじめたみんなをおかしく思いながら、一人 茶をすすった。












あ、そういやツナは出し物何やんの?



そうきこうと顔をむけた時にはツナは待ち合い室からいなくなっていた。
















《それでは
ボンゴレ的町内交流七夕大会を始めます

司会は3丁目の三浦ハルがつとめます》




セリフの暗記はばっちり!なハルの司会は順調だ。



笑顔で会を進めてるハルにおじいさんおばあさんたちが好感をもったのがソデからでもわかる。







『………さて、と』




ハルのおかげで会場はいい雰囲気。


失敗したらあたし自身が悪いってこと。




『シンプルでいーじゃん』



口角がつりあがる。

こーゆー緊張感は大好きだ。









ま、やるからには勝ちにいかないとね









《それでは一番バッターは
並盛野球部の強く可憐な一輪の華、山本弥白さん
願いは"野球部県大会ベスト4"です》




笑顔を意識しながら前に出る。

視線が一気に自分に集まったのがわかった。






…あ、ツナと獄寺がうしろの方にいるや。



そう思った瞬間、不思議と必要以上の緊張がなくなってって
笑顔が自然なものになったように感じた。








さて、気持ちをきりかえよう。




1つ深呼吸。



お客さんの視線が集まる中、持ってた星形の玉を連続して上に放りあげる。

落ちてきた玉をまた上に放った。





《星をかたどった玉で 七夕の天の川を表現したジャグリングです》



「「おおぉーーっ」」




よっし ウケてる



4個から5個…っと増やしてくにつれ拍手も大きくなる。




心の中でガッツポーズをとった。







ジャグリングの玉が6個になって、もう1つ増やしたらおわりにしようってところで









「山本 パスパース」




獄寺に投げろって言わ―



『ほいっ』


ドゴオッ!!

「うわっ!!」「ひいっ!」



―れた。






獄寺がよけた先にあったカベにはあたしの投げた星玉がめりこむ。







…あ、やば。強すぎた?





『いっけない つい……ゴメン!』


「バッ…バッカヤロー!」




玉が直撃しかけた獄寺は冷や汗をかいて怒鳴る。




その獄寺とツナに平謝りしてると、会場の空気がちょっと変わってきたのを感じた。




「暴力はいかんよー」


「壊しちゃあいかん」



いかんいかんとお客さんの大半がうなずく。




『すんません』



実際、獄寺を危ない目にあわせてカベ壊したんだからあたしからは何も言えない。
苦笑いで謝り続ける。






と、

次第にちがう話をはじめる人も出だして、室内はかなりざわついてきた。











あたしとしては、ポイントうんぬんよりも せっかくハルが作ってくれた場の雰囲気を壊したことの方が気にかかって




どうにかもとに戻せないかと首をめぐらせたとき。












舞台そでに置いといた保冷箱が目にはいった。






これだ!







『あ、そうそう』



『オヤジからみんなに七夕寿司配るようたのまれてるんだった
帰りにもってって下さい』



「おや、竹寿司さんの子かい?」


「あんれ大きくなったねー―」





それから、「よしみだから」ってことで多目に見てくれたお客さんが票を入れてくれた。


けど、ちょっと複雑な気持ちでもある。







これで優勝してもうれしくないなー





70のところに張られたあたしの絵を見てそう思った。






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