雨音が聞こえる

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7月7日、七夕。





今日はリボーンくんに誘われて地域交流会にでることになった。









『よし、書けたっと』





あたしが書いてたのはその会のチケット代わりの短冊。


なんでも 会で優勝したらこれに書いた願いがかなうんだとか。





「書けたか?ヤシロ」



『あ、オヤジ』







机に置きっぱなしの短冊を見てオヤジはため息をつく。






「ヤシロ 今年も野球かーっ
たまにはちがう願いでも書いてみたらどーだ?」



『いや〜〜けっこう考えてみたんだけど、やっぱコレかなって。
それに 願いは自分でかなえるつもりだからさ』



「ハハハッ そこんとこ、オレの若ぇときにそっくりだな!」



『ちょっ オヤジっ』





ぐりぐりと強く上から頭をなでられる。







うれしいけど、この年になるとちょっとはずかしいよな〜…






やめさせそうとオヤジの手のひらに手をそえたとき、目の前に大きめの保冷箱が差しだされた。
中身はたぶん寿司。




どーしたのかとそれをあたしの前に持ってきた本人――オヤジを見上げてみると、
あたしの友達に「おごってやるよ!」って言うときとよく似た笑顔を浮かべてた。





「たしか地元のじいさんばあさん達が審査員なんだろ?
挨拶代わりに七夕寿司ってことで配っといてくんねーか?」



『ん、りょーかい
にしてもオヤジ、けっこうな量あるけど店は大丈夫なの?』



「ハハハッ心配いらねー
これならギリギリ赤字ぐらいだからな!」



『ギリギリ赤字かよっ』






苦笑いで受け取った箱は見た目を裏切らずそこそこ重い。





会場の公民館がちかいとこにあってよかったとちょっとだけ思った。











(あんま外に出てると寿司が傷むからね〜)



(そこそこ重い=まだいける)






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