雨音が聞こえる

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市民プールに着いたから、途中で買ったアイスをいそいで片づけて水着に着がえる。



もちろん学校から直接来たんだからツナもあたしもスクール水着だ。




『じゃ、まずはあそこから入ろっか』


「う、うん…」




なんだかギクシャクしてるツナ(←彼も男子ですから)をひっぱり準備運動してからプールに入った。



しばらくは水に体をならすためツナと話しながら壁ぎわを歩いてると、
目の前をマット(浮き輪みたいに水に浮くやつ)が通りすぎた。






それにのっていたのは





『あ、リボーンくん』


「げ!
こんな時まで何しにきてんだよ!!」




「オレはツナの家庭教師だからな。
生徒の成長を見守るのは当然のことだぞ」




またそう言って…ってツナは頭をかかえる。


リボーンくんに見られるのがイヤなのかな?




『ん〜〜 じゃ、リボーンくん
なんか変なこと教えてたりしたら言ってね』


「わかったぞ。ま、今回は弥白にだいたい任せるけどな」


「お前 もしかして泳げないんじゃ」バキィッ!


「たのんだぞ」



『ハハ…りょーかい』




プールに沈んだツナをひきあげる。



彼の意識がもどるのは結構早かった。






さてと、はじめますか!






「リボーンの奴 涼みにきてるだけじゃねーか」



そう言ってるツナの視線の先には、さっきのマットの上で寝てるリボーンくんの姿。


…見てるとあたしまでねむたくなってくるや。




一瞬ぼうっとしかけた頭をふって、ツナに声をかける。




『じゃ、とりあえず泳いでみて
ここなら浅いから』


「う…うん」



彼は一気に青ざめる。


そんなに泳ぐが苦手なわけじゃないと思うんだけどなー

…っていうあたしの予想はこのあとくつがえされる。




「よーし…」



おっきく息を吸ってプールに顔をつけたツナは、



『ツナ!?』



おぼれだした!



…じゃなくて これは、泳いでる。…よね?



うん、両手いっぺんに動かしてるしバタフライ…のちょっとできなかった感じみたいな。





10秒ぐらいそのまま手をばたつかせて泳いだツナは、苦しそーにしながら水から脱出した。



咳き込む彼のぬれた背中をたたきながら プールのカベに書いてあるメートルの線に目をやる。



『なるほど。なんとか5mってとこだね。

まずは呼吸の練習からはじめよっか』




これは1つ1つ攻略してかないとね〜











『いい ツナ
ぐっともぐって

んーぱっんーぱっ
(訳:鼻から息だしながら水の中進んで ぱって口から息吸って)

ぐっぐって
(訳:それにあわせて腕で水をかくっと)』



手ぶりもあわせつつあたしなりにわかりやすく説明してみる。



『そーすれば すいーーっといくから!』


「(意味わかんねーー!!)」




『で、足のほうは

ターーンってやって
(訳:プールの壁を蹴って)

すーーっていったら
(訳:前に進んだら)

バタバターってやるんだよ(訳:バタ足はじめるんだよ)』



「………うん、そーだね」(棒読み)




しばらくそーやって教えてって、そろそろ頃合いかなってとこで、変な顔してだまりこむツナに声をかけた。



『んじゃ すっすぃすぃ〜っともう一本いってみよっか?』


「(感覚的すぎてついていけませんー!!)」




(管理人より
ある程度水泳の知識があればわからないこともないです。多分)




なかなか泳ぎはじめないツナにどうしたの?って聞こうとそばに寄る。


と。



「助けて〜!おぼれてる〜!」



ん?この声はハルだよね。

なんだか切羽詰まったようなひびきをもつそれに気をひかれて顔をむけると、



「助けてください!!
泳いで助けてください〜〜!!」


「ハル!?」



ハルがおぼれていた。




『………』



視線を自分のお腹のあたりにやる。


うん、やっぱそーだよね。





同じように確認してたツナは、ハルにすごく冷静に話しかける。




ツナもこのごろ半分暴走してる時のハルのあつかいに慣れてきた感じだな〜




「何でハルがここに?」


「それどころじゃないですっ
命が!!ともしびですー!!」






ひときわ激しく水をたたくハルを一刀両断するツナの一言。



「足つくだろ?」





そう、このプール、腰ぐらいの深さしかないんだよね。



さすがにこれ以上はムリだと思ったのかハルの動きが止まり、勢いよく立ちあがった。












…あ、ビキニだ。




………………。




いや、なんでもないよ?








少しテンションが下がったのは気のせいってことにして、ハルの話を聞く。



「リボーンちゃんに聞きました!!
泳げなくなっちゃったって!!」


「は!?」



泳げなく?




「前に川に落ちたハルを、死ぬ気で助ける!!って言いながら泳いで助けてくれたじゃないですか!」


「あ…あん時は…」



あ、そっか。今さらだけど ハルは学校ちがうんだよね。
お互い溝がないからつい忘れちゃうわ。


なるほどね〜 ハルにはツナが泳げなくなったよーに見えるわけだ。



「ハルもツナさんが泳げるよう協力します!
きっとツナさんは、ハルのためだと泳げると思うんです」


「い゙!?」




さあ…って言いながらハルは水につかる。




「ヘルプミー!」


「やめろって!!そーゆーわけじゃないから!」




またおぼれはじめたハルを止めるツナ。




「見ろよ。あいつらヘンタイだぜ」


「はひ」



ハルのおぼれるフリは、まわりの子どもたちにヘンタイだって言われたことで止まった。







やっぱフツーに練習すんのが一番なのかもね。








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