雨音が聞こえる

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「やばい!!10代目が!!」


「え!?オ…オレのせい…!?」



ものの数秒で気がついたチビ助はツナを見るなり大声で言うと、タバコを箱ごととりだした。


やっぱり他にももってたんだなーと思いながら、



『これはだめだって言ってるっしょ?』


「なっ」



没収させてもらった。



チビ助は短い腕をいっぱいにのばしてしばらく取りかえそうとしてたけど、あきらめたのか動きがとまる。



「…こーなりゃ」



口にくわえたのは、タバコじゃなくてライター。
どうしよう、と一瞬まよったせいで動くのがおくれてしまった。



「果てろ!!!」


「んなーー!やっぱりオレに怒ってるー!!
ひいい、早まらないで!!」



青ざめるツナにかまわず彼に向かってライターで火をつけた爆弾型花火を投げつけた!




待って、これも獄寺のマネしてるとしたら ツナが…!










「クルックー クルックー」


えっと……手品?



投げた花火は爆発するにはしたけど、いつもの獄寺のやつよりずっと弱くて。

火の粉と爆風のかわりにハトと紙テープがとびだした。



「そーいやそーだった!!」


「あぶねーーっ!」


「アハハ 面白いねー!」



よかった。
さすがの獄寺も花火まではマネさせなかったんだね。


…にしてもこの子、



『わるさばっかりする子だねー』



言って、苦笑い。

獄寺…というか年上の人のマネをしたくなる気持ちはわかるけどさ。




「10代目 まだです!」


「ひい〜 まだって!
落ちついてっ!!」



それどころじゃない2人は漫才みたいなやりとりをくりかえしてる。

京子はその様子を見て小さく笑ってた。








じた じた ばた ばた


手足をいっしんにふりまわしてあたしの手から逃れようとするチビ助。
それで1回落っことしそーになったけど解放はしてない。



「コラ!山本 はなせ!!
やつらがそこに!!」


『だーーめ
何しだすかわかんないからね』



遊びたいんならもっとみんなが楽しめるものにしないと。
もちろん花火を投げんのはそこに入ってない。



何をして遊ぶかこまったのかチビ助は静かになった。


様子をうかがってたツナはやっと一息つけた…と肩をおとしてため息。
目があうと疲れたような苦笑がかえってきた。


ツナ、おつかれさん。




それから何秒かして。
山本、と チビ助から声がかけられた。



「お、おい!!キャッチボールおしえやがれ!!」


『おっ そーゆーことなら遊んだげる』


「なっ!!」



キャッチボールならみんなでできるね。



「ボールはもってるよな?」



うまく床に着地したチビ助はあたしに聞く。

あたしは、ボールはたいがいバッグかポケットにいれて持ち歩いてる。



今日はポケットにあった。

出したボールをみせてやれば浅くうなずく。



『どこでやるの?』


「ここだ!!」


「え??」




ここかー

テーブルとかにぶつけないよーに注意しないとな。



「ちょっ!どーゆーこと?
まさか、はらいせに家を破壊するつもりじゃ」



わりと本気で言ってるらしいツナに安心してって意味で笑いかけて、



「さーこい山本! ここだっ!!」


『オーライ』



まっすぐチビ助の構えてる手にむけて投げた。




すると。


「ぎゃ!!!」



見えないカベにぶつかったみたいにボールがその途中で止まって、
それとほぼ同時にひびく叫び声。


見えない何かは地面に落っこちて だんだん正体がはっきりしていく。



やがて姿をあらわしたのは


「んなーーーーっ!!?」



手足がカエルっぽいデザインの緑の全身タイツを着た人だった。
ゴーグルとマスクのせいで顔は見えない。




この人もマフィアごっこのメンバーの一員なのかな?



「ほらもういっちょ!!」


『え?うん……』



言葉とともに飛んできたボールで我にかえる。

もういっちょってことはまだいるってことか。




「ジャンピングキャッチだ!!」



何度もとびはねるチビ助は、一番高いとこでひときわ手をふる。



『んっ』



だから今度は手じゃなくてそのあたりにむけて手加減せずに投げてみた。



「うげ!!!」



やっぱりいた。
さっきより強めに投げたからか床に落ちるなりすぐ姿が見えるようになる。


こっちの人はかなり小柄だ。



「よっしゃ!!!」


「なんなのーー!!?
この人達、どなたーー!!?」



頭をかかえて言うツナの言葉はあたしの思ってることを代弁してくれた。


正体をきかれてる彼らのほうはダメージのせいで見えるようになってるって言ってあせってる。





そこに入ってきたのは


「えれーぞ獄寺。

見直したぞ」


「リボーン!!!」



リボーンくん。



有名人なのか、タイツ2人組はリボーンくんを見て おどろいたように声をあげた。

そんな2人にリボーンくんはいつもと変わらず冷静に言う。



「おまえら、電柱にへばりついてたやつだな」


「なぜそれを!!」


「チビには見えるみてーだぞ。
おつかいにでてたイーピンにも見えてたしな」



リボーンくんのうしろにかくれてるイーピンがうなずく。

チビ助も見えてたからあんなに暴れたんだねーっ



「バカな!!光学迷彩は完璧なはず!!」


「おまえらのボスがしくんだんだぞ」


「恐らく あえてお子様に見えるよう設計してあるのでしょうな」



カプセルにはいった(乗った?)おじさんがやってきた。


『なんだありゃ?』


「わあ面白ーい」


「ジャンニーニまででてくんなよ!!」



どーやらジャンニーニさんってゆーみたいだ。
七三分けで、あんま運動してないのかぽっちゃりしてる。






室内が静かになるのを待ってたリボーンくんはまた話しはじめる。



「おまえらのボスは、緑色のおしゃぶりをしている虹の赤ん坊(アルコバレーノ)の一人 ヴェルデだろ。
あいつ迷彩の研究してたからな」


「くっ バレていたのか!」


「ヴェルデといえど光学迷彩が見えないと部下に裏切られる可能性があるからな。
自分には見えるよーにある年齢以下の人間には見えるようにしたんだぞ」



つくづくあいつらしい設計だな…と締めくくって話はおわりだとリボーンくんは帽子のつばをさげた。




ん、ヴェルデ、か…またマフィアごっこ関係の新しい人がでてきたな〜




「くっ…そうだったのか…っ」


「暗殺失敗か…!」


コーガクメイサイを着てる2人は暗殺者の役。暗殺が失敗してすごくくやしがっていた。



「こうなったら!」

「直接殺しましょう!」



息ぴったりで立ちあがり、ツナにむかっていく緑2人。


「うそっ!!リボーン助けてー!!」


「オレはたたかえねーぞ
武器が全部使いもんになんねーからな。
みろ、この死ぬ気弾なんてダンシングしてるぞ」


「なにがダンシングだよ!!こんな時にーー!!」



なんかトラブルがあってたたかえないのかな?

加勢しようとあたしが動きだすよりも早く、小さな銀色の影が足もとを走りぬけた。



「のやろ!!」



そう、チビ助だ。


こういう時にツナを助けようって1番に飛びだすところも獄寺に似てるなって場違いにも思いながらあたしも行く。



「目障りです」


「ふわっ」



…背の高いほーの人に蹴られてチビ助がふっとんできた。


キャッチしてやると痛そうに体をまげてうめきだす。



…こんなちっさい子にも手加減しないんだ。



大人げないなって思う。






「リ・ボーン!!
死ぬ気で敵を倒す!!!」



だから今回は、こわツナになったツナを心から応援するよ。
あたしが入るとジャマになるからてつだいはできないけどさ。





そして、ツナは数十秒ほどで2人組をたおして追いだした。



すごい、すごいとあたしと京子とで言うと、ツナは笑って首をふる。



「今日あの人たちを退治できたのはオレじゃなくて、
真ん中分けのちっちゃい子のおかげだよ」




視線の先には照れくさそうに目をそらして鼻の下をこするチビ助。




よくやった!と頭をぐりぐりなでたらツナにもチビ助にも止められてしまった。









それからしばらくの間、あたしが獄寺に会うことはなかった。



チビ助ならいたけどね〜








(ジャンニーニとアホ牛め!!)


いい加減もとに戻れと獄寺は小さくなってしまった体をいっぱいに使って嘆くのだった――




end.
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