雨音が聞こえる

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キャンドルサービスのために薄暗くなった会場。


それでもあたしからはディーノさんがなにかのリモコンをつぶしたのがばっちり見えていた。











それが何のリモコンなのかは、次の瞬間にイヤでもわかることになる。








「お…おい…オイ」



「リボーン?」




ビアンキさんにかかえられたままガクガクと…そう、まるでロボットがこわれたみたいに動くリボーンくん。




「オイル ビュー!!!」




とどめに、その口からまっくろなオイルがふきだされる。

あぜんとしたビアンキさんを、オイルに引火したロウソクの炎が襲った。











――ここまでくれば、頭の悪いあたしにでもわかる。


今ビアンキさんが持ってるのは、リボーンくんによく似てるロボットだっていうことが。


たぶん、式のはじめっから ここにいたリボーンくんはロボットだったんだ。
















…あたしが考えつくことを、頭のいいビアンキさんがわからないはずはない。











だから 炎がおさまって



「なにこれ」



つぶやかれた一言はこんなに重いんだ。


……その声には怒りも悲しみも疑問も悔しさもふくまれていた。




あたしですら、胸をふさがれるような苦しさを感じる。


となりのハルや ちょっと離れたところにいる京子はどっちも涙ぐんでいた。







「何なのこれ?」


持ってたリボーンくんロボを、なだめにきたディーノさんに投げつける。



ディーノさんたちの様子がおかしかったのは、きっとリボーンくんのことを知ってたから。




「いかん!!怒りで我を忘れてる!!」






ごっちゃになった怒りをぶつける相手を見つけたビアンキさんは止まらない。



手持ちがないのかその手にポイズンクッキングが出されることはなかったけど、



「ビアンキの接している部分が次々とお菓子になっていく!!」



「そして今度は みるみるポイズンクッキングに!!」




ツナたちの言うとおり、ビアンキさんを中心にじりじりと会場がポイズンクッキングになりだした!




逃げだす人で、ドアのあたりは大変なことになってる。



あたしはどうしよう。
ビアンキさんを止める?それとも逃げる?それとも…


会場を見まわしたとき、目にはいったのは1つの窓。



外には――



『!』



かけよって窓を開けた。



「ちゃおッス」


『ハハ…本物、だよね?』


「もちろんだぞ」






ようやく本物のリボーンくんがあらわれた。



さっきのあたしがやったように会場を見まわしたリボーンくんは、
止めねーとな、とつぶやいて エアガンをとりだす。




ドキューン!



「はっ」



ビアンキさんは弾が目の前を横ぎってったことで すこし正気にもどった。

リボーンくんはチャンスとばかりにビアンキさんに話しかける。




「それがポイズンクッキングの究極料理"千紫毒万紅"だ
よく到達したな ビアンキ」


「リボーン!!」








あたしはお邪魔になるかな、と彼らからはなれる。










と、京子たちと出くわした。



「弥白…」



「弥白ちゃぁん…」



『ハハッ 大丈夫……じゃなさそーだね』




2人とも、ビアンキさんの気持ちを考えると どうしても涙が止まらないらしい。







「まあ 素敵!
ありがとうリボーン!」



そう、いくら指輪をもらったビアンキさんがうれしそうにしてても、こればっかりはカンタンには割りきれないんだって。










あたしは泣く京子とハルの頭をただなでながらその言葉を聞いていた。



















(や、ツナ)



(ツナさん!)



(ツナ君!)



(え、弥白にハルに 京子ちゃんまで!み、みんなそろってどうしたの!?)



(……ハルと結婚式を挙げるとき、ツナさんはロボットなんかとすり変わっちゃダメですからね!)



(はぁ?何言って…)



(私も ロボット相手はヤダなぁって思う!)



(京子ちゃん!?)



(あたしは付きそいだけど…特に異論はなし!)



(弥白まで!!?)








オンナノコの夢をこわした代償は大きい。









それが、後に、集中攻撃をうけつづけたツナがジューンブライドの記憶と共に深く頭に刻みつけたことだ。








end.
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