雨音が聞こえる

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部活中





「山本ーー」


『?』



いきなり呼ばれたから、キャッチボールを中断して監督のとこへ。



さっきまで一緒にやってた男子は とりあえず、って感じで他のグループに混じってった。




『何スか、監督』


「お前に用があるって電話が来てるぞ」


『あたしに?』




わたされたのは他校とのアポ取りでよくお世話になってる監督のケータイ。



保留になってんのを解除して耳にあてると




「弥白、ちゃおッス」



聞きなれた赤ん坊の声。




リボーンくんだ。




『おっ どーしたのリボーンくん
また遊びのさそい?』



「ちがうぞ
今日あたり、内藤がボスをやってるトマゾファミリーにのりこもうと思ってな」



『あーー マフィアごっこか〜
打倒トマゾファミリー!って?』



「…まーな
今日の午後空いてるか?」




ちょっと待って、と監督から部活の予定表をもらう。




『んー…今日は一日練だから無理かな
明日だったら空いてる。
ツナとか獄寺とかも空いてんなら明日がいーや』



「わかったぞ。じゃあ明日の昼すぎ、ツナんちに集合な」





『りょーかい』





また明日、と言って電話をきる。




監督にケータイと予定表をかえして、頭の中を練習モードにきりかえた。






「集合!!!」


監督の呼びかけで整列。
あたしは右はじの定位置に並んだ。




「――今日は一軍と二軍、その他の選手を混ぜて3つのチームに分け、
その3チームで試合を行う。
チーム分けは今から言うから呼ばれたら返事をして すぐにチームごとの待機場へ行くこと!いいな!」



『「「「はい!」」」』



「それではAチーム、石田!」

「はい!」


「臼井!」

「はい!」











・・・・・・・・










『あーあ、負けちゃったか〜』




点差は たったの1。


ずっとこっちが勝ってたもんだから、例外なくみんな油断してた。



で、サヨナラホームランを出されちゃってさ〜




今日ほど油断大敵って言葉が似合う日はない。







負けた方のチームは買い出しに行くことになって、監督に言われたものを買いに商店街に来ていた。







本屋の前をとおりかかったとき、部員の1人が新発売の雑誌にかけよってく。





なんだなんだと全員でそっちに行けば、




「っは〜!菊桃桜の写真集だってよー!」



「好きだなぁ お前…」




手にとってたのは、スタイルのいい女の人がセクシーにこっちを見てる、属に言うエロ本だった。





あたしはもう部室で見慣れてるから特に言いたいことはなく、
それをわかっててみんなは話を続ける。




「チッチッチッ彼女の魅力がわかってないな〜
彼女を語る上で外せないのは、
なんといってもあの魅惑のスタイル!」



「そしてそんなスタイルとはギャップのある童顔!」



「さらに!まさかまさかの天然ドジッ子!」



「「「「彼女はカンペキだ!!」」」」




「おま、いつの間にこんなに同志が増えてたんだよ」


「フハハハ、ほらお前もこっちに来いよ。さぁ!」



「ちょっ 引っぱるな!」



『…あーー…話の途中でわるいけど、早くもどんないと昼ご飯 食べる時間なくなるよ』



「なんだ山本!嫉妬か!?」



「とりあえずお前はそのウザいテンションをどうにかしろ」



「「「「えーー」」」」



「そこだけハモるな!」




次期部長、おつかれさまッス。







どうにか彼らを菊桃桜の写真集からひきはがし、あたしたちは学校へもどった。
















(菊桃桜かー…)







自分の体を見下ろしてみる。






ちょっと悲しくなった。











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