雨音が聞こえる

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「ハル姉、ヤシロ姉!
あっちにパンダがいるんだって!行ってみようよ!」



『おっ パンダかーいいね!』



「行ってみましょう!」




ハルと、ツナんちのあたらしい住人―フゥ太といっしょにパンダの檻の方へむかった。














今はあたしとハルとフゥ太の3人で並盛動物園をまわってる。




ちょっとわすれそーになるけど、実はこれもマフィアごっこだったりする。


今日は動物園でツナににあう動物を選ぶんだそーだ。
たしかに、ボスにはシンボルみたいなものがあったほうがより しまるしね。





で、選びにきてるのはあたしたち3人だけじゃなくて、ボンゴレファミリーみんなが順々にここで集合することになってるんだ。


あたしは今日のことは前から聞いてたから部活で行けないなんてことはなかったけど、
朝集合じゃあどーしても都合のあわない人だっているから、現地集合ってのはいい案だと思う。


にしても、






『んー…ツナににあう動物か〜…』


「ハルにとってのツナさんはストロングなイメージなので、ゴリラさんとかどうでしょう!」



それにゴリラさんってベリーベリーキュートですよねー!


笑ってうなずいておく。

あたしはよくわかんないけど、ハル自身がかわいいって思ってるならそれでいい。




『強いってゆーのはわかるけど、あたしん中のイメージとはちがうかな』


「? じゃあ弥白ちゃんのツナさんのイメージってどんなのですか?」


『ハハ、それがいまいちはっきりしなくてさ』



「僕のランキングブックで、ツナ兄ににあう動物ランキング1位見てみる?」


「…いえ!自力でさがしましょう!」


「そうだね、ハル姉」


『じゃ、次はハルの言ってたゴリラのとこに行こっか』


「はい!」「うん!」






こーして考えてみると、ツナってよくわかんないな。



やさしくて、たよりない感じがすると思ったら しっかりした芯をもって自殺しそーになったあたしを止めようとしたり助けたり。


ちょっと前までイヤだーって言ってたことにも、(パンツ一丁だけど)全力でとりくんでたり。




ホントに、よくわからない。





あたしって友達がいのないヤツだな、苦笑いして

獄寺だったらなんだって言うのかちょっと気になった。



あたしと同じくらいツナの友達やってても、ぜんぜんちがうとり方してんのかもしんない。


毎日10代目!ってよんでるくらいだからなー。









「次行こうよ!」


「そうですね…じゃあ今度はキュートなアニマルちゃんを見にいきましょう!」


『りょーかい』










それからはあてもなく動物園の中をあるいて、
休憩がてらフゥ太に(季節はずれだけど)ソフトクリームを買ってやったとき







ドガァン…




『「「!」」』




聞きおぼえのある爆発音がして 地面がゆれた。




「はひ!!獄寺さん…でしょうか!?


「たぶんそうじゃないかな?」


『今の季節に花火もってんのは獄寺ぐらいっしょ』




ハハハ、といつもみたく笑ったその前を横切る人影。




「あ、ツナさんと京子ちゃんです!」



京子は一瞬「あ」って顔をしたけど、ツナは気づかなかったみたいで。京子のうでをひっぱってそのまま爆発のあったほうとは逆方向に走ってった。




「ツナ兄たち 爆発から逃げようとしてるのかな?」




首をかしげるフゥ太。


たぶんそーだね、
とうなずいて ソフトクリームがとけそーになってるって伝えると フゥ太はあわてて食べはじめた。




「それにしても
お客さん、みんな逃げだしちゃいましたね〜…」





ハルの言うとおり。



今、園内には人っこ一人いない。


爆発がおきてすぐ お客さんはみんな 避難してったんだよね。



あ、けど 逃げてる人の中にセンパイとかビアンキさんを見なかったから
マフィアごっこのメンバーはまだ中にいるのかも。




「ひぃぃいー!」


「ツナ君?」




あっちこっち行ったり来たりする2人を見て確信した。




「あの2人、さっきから何してるんだろ」


『んー 鬼ごっこやってる……わけないか。
鬼がいないもんなー』



「2人に聞きに行ってみま…」




ハルの言葉がとまった。



目を見開いてかたまる彼女の視線をたどった先には、





ライオンが3頭。










フゥ太がソフトクリームを落とす音がいやにおおきくきこえた。






《お客様にお知らせします
さきほどの爆発により檻が半壊し ライオンが逃げ出しました

ライオンは現在気が立っており 大変危険です
すみやかに園外へ避難してください

くり返します―》













3頭のライオンはバニラのにおいをかぎつけたのか、鼻をならしてこっちにゆっくり近づいてくる。





彼らを見た瞬間 反射で近くの草むらに2人とかくれ
様子をうかがっていたあたしは ち、と小さく舌打ちした。



…こっちにこられたらいずれ見つかる




「(き、きました…!)」


「(どうしよう、どうしよう!?今からじゃ逃げきれないよ!!)」




あたしだけならまだ逃げれるかもしんないけど、2人もいっしょに…ってなると少しキツい。



…でも、一応 作戦は ある。





『(2人とも、おちついて聞いて。
ずっとここにいたらだんだん追い詰められて いずれ見つかることになると思うんだ)』


「(それは…そうですね)」


「(…ヤシロ姉、もしかして 何か策があるの?)」



『(ん、そのとーり。って言っても今さっき思いついたやつだからうまくいくかはわからない
もしかしたらここにいても気づかれずにいられるかもしれない)』



イチかバチかのかけだけど…やる?




2人はソフトクリームのにおいをかぐライオンをチラッと見て、うなずいた。

















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