雨音が聞こえる

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「おはよーございます10代目!!」


『っ』




聞こえてきた獄寺の大声に体がはねる。



…ちょっと寝かけてたかもな〜






頭をふってぼーっとするのをふりはらう。



塀から体をはなして大きくあくびして どーにか眠気をおいはらうのに成功した。







涙のうかぶ目をまたたきつつツナんちの様子を見てみる。






黒服のおじさんたちは相変わらずだけど、
さっきまでとちがうのは ツナと獄寺、そして外人ぽい金髪の兄さんがいるとこだ。



その人と獄寺は知り合いみたいで2人で話してる。







んー…時間的に遅刻しそーだし 会話がとぎれるのを見計らってツナと獄寺を呼ぶことにするか。



全体的に黒の多い集団に近よった。



『ツナに獄寺じゃん
何やってんのあなたたち
遅刻するよ!!』


「弥白!!」



軽いノリでバシッとうしろから背中をたたく。


イヤそうな顔をする獄寺にかまわず学校へ行く道の方へ2人の背中をおした。









なんか肌がピリッとした気がしたからふりかえると、さっきまで獄寺と話してた金髪兄さんと目があった。



反射的に笑ってあいさつする。



『ども』


「よ」



にやっと笑うその様子に、2人をはやくこの黒スーツ集団の中から脱出させたいって思ってるのが彼に見透かされてると感じた。


でも、タトゥーがたくさん入った左手をひらひら振ってるとこから見るに、止める気はないみたいだ。





だから、


『さっさと行こー』


「なれなれしくすんな!」



さっさとここを抜けよう。


左右にどいて通れるよーにしてくれたおじさんたちに軽く頭をさげて ちょっと早足で通りすぎた。

















『でさ、さっきの人たちって誰なの?』



なんとなく色々知ってそーな獄寺に話をふる。


なんでオレが みたいな感じで見られたけど、ツナも聞きたがってるのを見て しぶしぶ話しだした。




「…黒服の連中は あの金髪タトゥー野郎、ディーノをボスとした キャバッローネっつーファミリーの構成員です。
ちなみにキャバッローネファミリーはボンゴレの同盟ファミリーでもあります。


ボスのディーノはチャラチャラして見えるが実際は頭の回転が早く経営者としてもやり手なんだそースよ」



「へーーディーノさんが?」



感心したよーに言うツナとは逆に 話をふったあたしにはほとんどがちんぷんかんぷんだった。




「ええ あいつが先代が傾けたファミリーの財政を立て直したのは有名な話っス

マフィア キャバッローネファミリーつったら 今じゃ同盟の中でも第3勢力ですしね」


「へーーっ」





とりあえず、ディーノさんは ボスですごくてマフィアごっこに参加してる人なんだってことで。




「どっちにしろオレは好かねースけどね」


「え…な…なんで?」




獄寺の目がギンッとするどくなる。




「年上の野郎は全部敵スから」



範囲広!!!ってゆーツナの心の声が聞こえた。








『ね ツナ
さっきマフィアって言ってたけど…』


「!」



『変な会社名だね
あなたのおじさんの会社…』



"キャバッローネファミリー"って響き 海外の会社っぽいよなー

なにをあらわしてんのかはさっぱりだけど。













そっからはディーノさんとかキャバッローネの話題が出ることもなく いつものように3人で話しながら道を歩いてた。












しばらく歩いてると、




フォォ...




うしろから車のエンジン音が聞こえてきた。



ずっと道のまん中にいたら車にひかれるのは目に見えてるから、自然なながれで道のはじに寄る。




そして、真っ赤な車がすごいスピードであたしたちの横を通りすぎ………なかった。






ハデなブレーキの音をたてて車が急にスピードをさげたからだ。



歩いてるあたしたちとほぼ同じ速度になったその車に、変だな、って思う間もなく






「え!?
ウソーーーー!!!」




ツナがロープでぐるぐる巻きにされて連れ去られた!



「10代目!!」


『ツナ!!?』




茫然と立ちつくすあたしと獄寺。
追いかけようにも、もう車はかなり小さくなっていた。



「ありゃ ここら一帯を締めてるヤクザ 桃巨会の車だな」


「!! リボーンさん!!」



いつの間にうしろに立ってたリボーンくんがそー言った。


小さな体に見合った帽子のツバを下げながら続ける。



「ヤクザといえばジャパニーズマフィアだ
大人マフィアに中学生のお前達がかなうわけねぇ

ここは警察にまかせろ」




一瞬の沈黙。



顔を見合わせた獄寺の目には"警察にまかせる"なんて考えは一片もなくて。


たぶんあたしも獄寺と同じ目をしてたんじゃないかな。




「まかせられません!!」


『警察は頼んだ リボーンくん!!』



だから 走りだしたタイミングがまったく同時でもぜんぜん不思議じゃなかった。





リボーンくんに警察を頼んであたしたちは桃巨会のアジトに向けてひたすら走った。








ツナ、今 助けるから!










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