雨音が聞こえる

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「うう…私、シューマイじゃありませぇーん…」



「しょ…しょーがないよ
イーピン ド近眼なんだから」



「え?
ド近眼?…じゃあ」



何かを思いだしたらしいハルは バッグの中から ペンケースに似た箱をとりだした。




「これ ド近眼用です」



ケースから出てきたのはシンプルなメガネだった。



「ハル メガネかけてたっけ?」


「父のです。
さっきたのまれて メガネ屋さんからとってきたんです」



朝起きたときにお父さんの枕元にメガネがなかったら その日はスーパーデンジャラスモーニングなんですよ〜 言って ちょっと遠い目をするハル。






「イーピンちゃん、どうぞ」



まだハルをシューマイだと思ってるらしいイーピンはおそるおそるメガネをうけとり かける。

そしたらハルもランボもちゃんと見えるようになって、ハルもイーピンも安心したように息をついた。



『何で今までメガネかけなかったの?』


「そーだよ バッチリなのに」



イーピンが言った言葉をリボーンくんが訳す。



「<耳がないから>」


「あれまーー!!!」




たしかに言われて見ればイーピンには耳がない。

ちょっと思いついて
コンタクトレンズにしたらどうかな と言ってみると 「考えてみる」とかえってきた。




「コラ新入り!!
ランボさんを無視するなー!!」


「!」



そう言って ランボがおどかすと、何か格闘技っぽい構えをしてイーピンはランボに向きあう。



「ブロッコリーの化け物じゃないとわかって 攻撃する気だ!!」




ブロッコリーの化け物?

と、疑問に思ってるうちに イーピンが手のひらをランボに向けて、掌てい?をくりだした。
それと同時に吹っ飛んでいくランボに その攻撃はあたってなかった。



「ランボちゃん!」


『いま…触れなかったよね』


「あれが餃子拳」



感心したように言う獄寺に詳しく聞こうと思ったとき、
「が・ま・ん…
ランボさんは、モジャモジャ頭のランボさんはお前みたいなヘンテコ頭に負けないもんね!!」



半泣きのランボが言った。

キッとにらみつけるイーピンの様子に、ツナがあわててランボを叱るけど 焼け石に水。



「おまえなんかしっぽ頭ーー!!
しっぽあたまああぁ!!」



とうとう泣き出したランボは叫び、それを聞いて 滝みたいな汗をかいたイーピンの額には 9つの丸が浮かびあがった。

ツナは真っ青な顔でさっきのランボ以上に叫ぶ。



「人間爆弾のカウントダウンだーーっ」



昨日見たやつとは丸の数が違うけど、なんとなく 昨日学校で爆発したあの花火と同じものなんじゃないかと思う。



『またあのあぶない遊びかー』


「はひ?」


「ゲっ」



そっから室内はプチパニック状態になった。

ツナと獄寺はなんとかイーピンを外で爆発させよーと窓から投げたら、途中でイーピンのみつあみが家の屋根にひっかかって、しかも手が届かない。

ハルはイーピンに何をするんだーって怒って ツナたちに事情を聞こうとしてるけど、それどころじゃない って言われてなおさら引かなくなった。



とうとう丸が2つになってもう逃げられない!ってツナが頭をかかえたとき。

リボーンくんがランボが構えてたバズーカをイーピンにあてた。





爆発




ピンクのケムリが窓の外にたちこめる。




「あっ
ま…まさかイーピンに10年バズーカを!」



10年バズーカ?

聞いたことのない名前に首をかしげるけれど、
いつものマフィアごっこのオプションかな〜と考えてあたしも立ち上がる。
机の上のねんどを移動させよーかと一瞬思った。



「ああ
これで爆発は未来に持ちこされたぞ」


「え…うそ!
じゃあ そこにいるのは10年後のイーピン!」



だんだん晴れてきたケムリの中から聞こえてきたのは 女の子らしい高い声。



「なんで?なんで出前の途中のはずなのに屋根の上にいんのかな?」



そこにいたのは どことなく中華な雰囲気をした女の子。2つの長いみつあみが風にゆれる。




「うそーーっ
イーピンって女の子だったのーー!!!?」


「し…信じらんね」


『誰?』


「知り合いですか?」




驚いたように言うツナと獄寺に聞いてから、こないだのランボのときも同じよーなことがあったことを思いだした。

たしか、ランボがあたったら"大人ランボ"だったっけ…てことはこっちは"大人イーピン"?


でもマフィアごっこだし やっぱ手品ってのが一番それっぽいかな


頭の中で完結して、ツナとイーピンの話をきく。




「筒子時限超爆は、拳法をやめる時に中国の師匠に封印してもらいました
キーワードとともに」


「カタギってわけか…」


「もう本当に普通の女の子だ…人って変われるもんだなぁ…」




あぜんと言う2人に困ったよーに笑いかける彼女の前に、泣きやんだランボが姿をあらわした。



「ねぇ しっぽ頭は!!?」


「なんだランボ泣きやんだのか」



ランボを見たとたん、目を見開いてかたまるイーピン。

どーしたのかと、みんなの視線が集まる中



「ブロッコリーの…化け物……!!!」



それだけつぶやいて、いきなり頭をおさえだした。
顔から滝のよーに汗が流れるその様子に、さっきまでここにいた 小さいイーピンがかぶって見えた。




汗が引いたイーピンの額には、



「んなーーっ
封印のキーワードって"ブロッコリーの化け物"〜!!?」



9つの丸が浮かびあがった。




…見覚えがありすぎる。





そう思ってるうちに、8つになった。



「みんな逃げろ〜!!」



あわてて部屋から出ようと動きだした時には、もう6つまで減っていて。
ちっさいイーピンよりもカウントダウンが早いと感じたのはきっとあたしだけじゃない。



『ハル ランボと早く行って!』


「はひ!!?」



心の中で一応謝ってからランボをハルに放る。
なんとかキャッチしたハルの背中を間髪入れず押して廊下に出させた。


ハルが階段をかけおりる音が聞こえてとりあえず安心してると、ツナがあたしと獄寺の腕を掴んで廊下に走り出た。

獄寺がドアを閉める直前に見えた丸は、2。




「今ならまだ間に…」



階段にさしかかる一歩手前で、








ズドオオオオォオォ!!!





爆音とともに目の前が真っ白になった。















次にあたしが目をさましたとき一番に見たのは、病院の天井と寿司の山だった。




(んーー…これ食べきれっかな…)

(ヤシロ!起きたのか!!)

(あ、オヤジ)





その後、あたしは病院のベッドの上で正座ってゆー なかなか味わえない体験をした。






end.
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