雨音が聞こえる

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ドーーーン!!




『たーまやー…なんちゃって』















ツナに言われるまま わけもわからず投げたぬいぐるみ型花火が並中上空で爆発して学校がパニックになったのは昨日のこと。


それで部活ある生徒も強制下校ってことになった。



とりあえず、ツナんちで明日(つまりは今日)補習の課題をやるって約束だけしてその日はうちでゆっくりした。













そして今。



ツナんちの前で 散歩中だったらしい獄寺とばったり出くわした。







『や、獄寺。今日は散歩?』



「ま、まーな!
そ そういえば今日10代目のお宅で補習の宿題やんのか?」


『うん。
あ、そーだ 獄寺も来る?』



獄寺が後ろを向いてガッツポーズをした(ように見えた)



「…仕方ねぇな
そこまで言うなら行ってやるよ 10代目ん家にな!…ホレ 行くぞ!」



音符が頭のうえに見えるくらい機嫌がいい獄寺を尻目に、沢田家のインターホンをおした。








ちょっと経ってからカギがあく音が聞こえて あたしはドアを開ける。

目の前に見えたツナに開口一番 あいさつして 獄寺も呼んだことを伝えた。



「い…いらっしゃい!
ゴメンね 急に留守番になっちゃって」



ホントは母さんがランボたちの面倒を見てくれるはずだったんだけど…と 言ってツナは息をついた。


その彼の足元を、昨日来たイーピンって子と ランボが走っていく。


…にしてもこのイーピンって子、昨日の花火の形によく似てるんだよな〜





『あたしはどこでもいいよ』


「しかし ガキの世話とは10代目も大変ですね」




10代目に迷惑かけんじゃねーぞお前ら!

そう言った獄寺の言葉は届いたのかどうか。












さっそくシートをしいて紙ねんどを取りだすと ずっと機嫌よさげだった獄寺の顔が一気にひきつるのが見えた。



「? どーしたの獄寺君」


「……まさか美術の補習とは思ってなかったので…」



眉間をおさえて重いため息。



「ま、まあ頑張って完成させましょう10代目!
ちなみにテーマとかってありますか?」



切り替えの早い獄寺に若干おされつつツナは言った。


「"自分の好きなもの"だよ」



ツナもあたしもそれぞれ何を作るか決めてきたから あとはそれを作るだけ。


それじゃあ手伝いはできませんね…と言う獄寺に、あたしはヒマつぶしに何か作ってみればどうかと 自分の使う分だけ残してねんどをあげた。









いろいろ話しながらやってくうちにそれぞれ形ができあがってきた。







ツナは犬で


あたしは野球のボール。



獄寺はなんだかわからないぐねぐねした物体だった。

なんとかしてなおそうと触るたびひどくなってくその様子に少し笑う。




『ハハハ 獄寺なんだそりゃ』


「う うるせーー!どー見ても富士山だろが!」



自分でもちょっと変だって思ってたみたいだ。


力かげんを間違えたのか富士山?の先がさらに曲がって、ますます赤くなる。




…これには触れないほうがいいみたいだ




右側からとんでくる「お前も失敗しろ」みたいな視線を気にしないことにし 新しいねんどをちぎって今度はバットの形にしていく。



毎日振ってるバットの形を間違えるわけもなく、特に困らずグリップエンドとグリップが完成。



そのままヘッドを作ろうとしたところで イーピンとランボが部屋にとびこんできた。




うまくねんどをかわして逃げるイーピンに、追いかけてるランボも当然ついてくわけで。


ベッド側に座る獄寺と"富士山"のまわりをぐるぐる走る2人。





元気だな〜





作ってくうちねんどが足りなくなり補充しようと手をのばしたら、




ぐちゃっ!




獄寺の"富士山"にランボがダイブするのがばっちり見えた。



「…おまえわざとオレの狙ったよなぁ!」


「ガハハ……ハ…」



得意げに笑う様子にキレた獄寺がランボの体をつかむと苦しそうにその手をたたくランボ。



『この2人って実は仲いいよね』


「獄寺君!おちついて!!気持ちは分かるけど…!!!」


「つまり10代目もこいつがウザいってわけですね!
それなら 今 やっちゃいましょう!」



ランボが本格的に苦しみ始めたからそろそろ止めようとしたとき




「何してるんですか獄寺さん!!
子供をいじめちゃだめだってなんでわからないんですか!!」


「ハル!

また勝手にあがってるし」



「………うるせーのがきた…」




舌打ちして獄寺はランボをつかんでた手を離す。


床に落ちる前にキャッチすると ランボが泣いてしがみついてきたから背中をたたいてあやした。



『助かったね〜』





どうやらハルが来たのは、心配になった奈々さんに様子を見てほしいって頼まれたかららしい。

それをハルから聞いたツナは複雑そうな顔をしてる。




「あっ。あなたがイーピンちゃんですね!」


「£仝¢ヱЖ◇#@!!」




……なんて言ったんだろう


言われたハルも首をかしげる。




「何て言ってんだ?」



「<シューマイの化け物だ!!>」


「はひっ!」




めちゃくちゃショックを受けたハルはしばらくの間 立ち直れなかった。







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