雨音が聞こえる

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『さ〜て 部っ活ー♪……っと、あれ?』




帰りのHRが終わってやっと部活に行ける、と友達に帰りのあいさつをしつつもかなり早めに昇降口を出たあたしの前には、



「待ってたぞ弥白」



ツナんちに住んでる親戚のうちの1人 リボーンくんがいた。




『リボーンくん!
どーしたの?こんなところで。
ツナならランボを家に連れて帰るために早退したからいないよ』



彼の目線にあわせてしゃがむと、ピョンと肩に飛びのってきた。別に重くもないからそのまま立ち上がると さっきのあたしの言葉に返事がかえってきた。



「ちげーぞ
今日はファミリーに集合をかけにきたんだ。
獄寺はもう呼んであるからあとはお前だぞ」



そういえば獄寺 号令した後すぐに教室から出ていってたっけ。今思うといつもみたいにツナのとこにかけつけようとしてたんだってのがわかる。




『そっかそっか。リボーンくんこんなちっちゃいのに大変だね〜っ

それで?今日のマフィアごっこはどこでやるの?』







"マフィアごっこ"って言った瞬間リボーンくんが小さくため息をついたのをあたしは知らない。




「…校舎裏だ」



てことは、グラウンドを通っていけるなー。そのときにちょっと部活に声かけてこう。




『ちょっと部に声かけてから行ってもいい?』


「ああ いーぞ」






リボーンくんを肩にのっけたままグラウンドに出て、遠目に見える野球部に『今日出れないのでよろしくお願いします!!!』っておもいっきり叫けぶと、部長が苦笑いでこっちに手をふるのが見えた。




『よっし 報告完了!じゃ、行こっか』



「だな」






校舎裏に行く間は、何か考えてるらしいリボーンくんにならってあたしも無言だった。
















「ちょっ あの…」



「何スか10代目?」


『リボーンくんに呼ばれたんだけど』



獄寺の後につなげるように言うと、横から痛い視線がとんできた。


んーーーーっ、やっぱ獄寺はカルシウムとった方がいいよね
今度 前々から計画してた「昼休みに牛乳を渡してみよう作戦」でもやろっかな。


ガラッ





窓が開く音に考えるのを中断してそっちを見ると、見覚えのあるモジャモジャ髪と牛柄。



「ガハハハハ!ランボさん登場ーーっ!!!」



やっぱりランボかーっ




「またうぜーのがきやがった
ションベンタレはすっこんでろ」


「ちっちがうもんね!もらしたフリしたんだぞ!!
…だまされてんじゃねーぞバカ者共ォ!!」


「てんめ〜っ
いっぺん痛い目みなきゃわかんねーみてーだな!」



言い合う2人のやりとりがちょっと笑えた。

ランボはツナといるときは世話されてる子って感じだけど、獄寺とはケンカ友達って感じ。

あたしは…まだよくわかんないな。




「あら、あれ何?」


「ん?」



背中にかくれてよく見えないけど、グラウンドの方に何かあるみたいだ。
獄寺の首がそっちにふられてくからあたしも気になってその視線の先を見てみる。




「バカは見る」

「ぎゃっ」



どうやらランボがよそ見した獄寺の目にパンチをいれたみたいで、左目をおさえる獄寺をランボが笑ってる。

ツナはビミョーな顔で苦笑い。なんか身に覚えがあるよーな顔だな〜




「死にやがれ!!」


いろいろ考えてたせいでキレた獄寺を止めるのがおくれ、蹴りがきれいにランボにきまってしまっていた。



『まーーまーー』



窓ワクから地面に落ちたランボにおいうちをかけようとしたところで止める。




上着をつかんだだけじゃとまってくれなくて、どうしようかとちょっと思ったとき






「んじゃ ランボの保育係の適正テストをはじめるぞ」

「なっ」

「!?」

『テスト?』



マフィアごっこでテストっていうと…前みたいな運動系かな、やっぱ。




とうとう泣きだしたランボの声をバックに話は進む。



「なに言ってんだよっ」


「こいつの保育係ってのは遠慮しときます
オレ コイツ大嫌いなんで」


「ほらね」


ほっとしたよーなツナには悪いけど



『あたしはいいよ。
今日は何の遊びなの?』



「(弥白節でたーっ)」



ショックを受けてるらしいツナ。



だってさ、マフィアごっこはいつもがんばればできるギリギリのところだから楽しいんだよねーっ
(ポイズンクッキングだけはどーしてもムリだったけれど)





「ちなみに保育係になった奴がボスの右腕だからな」


『そりゃいーね』


「な、右腕…」




景品があった方がなおさら燃える。


右腕の決め方がちょっとあれな気もするけど、ごっこ遊びだから別にいっか。





「オレ…
本当はランボ大好きです」



あたしから見ても無理して言ってるのは丸わかりだったけど、獄寺もやる気を出してきたみたい。




「ルールは簡単だぞ
あいつを笑わせた方が勝ちだ」


「なんだそりゃ………
そんな勝負2人がやるわけ…」






やるんだなー これが。




「山本 てめーだけには負けねーぞ
今日こそ白黒つけてやる」


『よっし
やるからには勝たないとね』




獄寺があたしをライバル視する理由は正直まだわかってないけど、だからってそう思ってくる相手に易々と負けてやるほどあたしはやさしい奴じゃない。



…うん、ちょっと燃えてきた





「オレ 先攻でいくぜ」


「制限時間は3分だぞ」



やる気に満ちた背中に応援をおくったのは獄寺は競争相手だけど友達でもあるから。





ケッ と言って 獄寺はランボにさくさく近づいていった。









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