雨音が聞こえる

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「うぅ…このままだと赤字になっちまう…」


かなり物騒なことをつぶやくオヤジに 出かけてくる と一言言って、戸を開けた






補習の宿題とかを一緒にやるうちにすっかり馴染みになった道。



『あれって…』



その途中にある公園のベンチの1つを、獄寺が占領していた。




「……………」



『?』



どーやらあっちは気づいてないようで、めったに見ない(てか はじめてか?)真剣な顔でタバコをふかしてる。

獄寺の足元にはハトの大群。




クルッポークルッポー


「……………」


クルッポークルッポー


「……………」


クルッポークルッポ...




あ、ヤバい。なんか笑えてきた。




急にきた笑いの発作をこらえていると、今まで吸ってた分がなくなったらしく 携帯灰皿にタバコを突っ込み、新しいやつを取りだしていた。


それに火をつけて、一度深く吸い、ため息のように煙を吐き出しながら一言。






「…ヒマだー」





ダメだ、笑う…!



『〜〜〜っ』




必死に笑い声をかみころす。
その分肩はふるえるし口元のニヤニヤはおさまんないし、だれかどーにかしてくれ!





ベンチの上にあったらしい小石を投げて、でもそれがぜんぜんハトに相手にされてない、って また発作が…っ





今さらながら、1人で爆笑するあたしはかなり変な人だったと思う(引き笑いだし)





とりあえず本来の目的のツナんちに向かうべく、歩を進めた。
















『と〜ちゃく!』


いっつもなにかしらの出来事があるツナんちは、今日も音であふれている。



1階からはなんかかたい物をたたく音。たまにボスッという気の抜ける破裂(爆発?)音が聞こえてくる。






珍しく2階からは何も
「ガシャーン」…あ、なんか壊れたっぽいな。




てことはツナ いるな〜。


確信したあたしはインターホンに手をのばした




と、




ピーンポー「なんでおめーがココにいんだよ!」



振り向くと、公園にいたはずの獄寺が驚いたようにこっちを見ていた。



『今日部活ないからさ。あなたと同じ ヒマ人なんだ〜』





やっぱヒマんなるとツナんち行きたくなるよね



うん、うん、と心の中でうなずく





「コラ!
誰がヒマ人だ!?一緒にすんじゃねーー!」


と言いながらツカツカ歩みより ドアを開け 中へ。



沢田家はうちと同じでカギかけない派なんだな〜
(↑店なのに鍵を閉めたら商売になりません)



リボーンくんの顔が頭をよぎったのはなんでだろう。






一応 おじゃまします、と小さく言ってからあがり、階段をのぼる。



『さっき公園のベンチでタバコふかしながら
ハトに向かって「ヒマだー」って言ってたっしょ?』



思い出すとまた笑えてくるから無理やりのみこんだ



「な! 見やがったな〜!!!」


そんな心の動きが顔にでてたらしく、獄寺の額に青筋が浮かぶ。



どこまで見ていやがった!!


と 問いただされそーになったとこで、ツナの部屋に着いた。




開けっ放しのドアから室内をのぞく



『やほ ツナ!』



口の中であれ、とこぼした



「お邪魔してます 10代目!」



あたしのすぐ後に部屋を見た獄寺も同じ感想だったらしく、胸ぐらをつかんでた手が離れる




『……何してるの?』



泥棒に入られた後のよーな部屋で、ツナが頭を守るように丸まっていた。

勉強のときによく使ってる机の下にはハルが同じ体勢で頭をつっこんでいて。



…地震でもあったのかな



「かくれんぼ……スか?」




獄寺はかくれんぼだと見たらしい。






聞かれたツナはうめきながらゆっくり起き上がったかと思うと





「オレの人生は終わったんだーーー!!
もー自首するしかないーーー!!?」



そー叫んでまた頭をかかえてしまった



「ツナさんが刑務所から出るまでハル待ってますーー!!
手紙いっぱい出しますーーー!!!」



それをなぐさめるようにハルはツナの体を必死にゆさぶっていて





『は?』


「へ!?」





…自首? 刑務所?






とりあえず事情を聞くべく 錯乱した二人をなだめることにした。







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