雨音が聞こえる

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棒倒しが目前まで迫り グラウンド内が活気づいてきた中、あたしはツナのハチマキを結んでやっていた




『よし、できた』



「ありがとう!」



どういたしまして、と笑った



視界のはしでは、ハチマキに刺繍してある"綱吉"の二文字が風に揺れている



『ツナ、どう?気合い入った?』



これは彼のやる気を少しでも出させようと思って京子にたのんだもの。

その効果が気になったから聞いてみた



「えーーっと…」



目を泳がせるツナ。


ま、ハチマキ1つで劇的に変わるなんてのはありえないしね



それにB・C連合を相手にすることになっちゃったからモチベーションは最低だろーな。



それでも逃げないのは、みんなに期待されてるから。
彼は頼みにされると断れない性格をしてる。


みんなはそーゆーのを優柔不断って言うけれど。その面があるからこそ彼は彼なんだ。


『ハハッ そー気落ちしない!
大丈夫だって。なんかあったらあたしも行くし!』



彼の背中をバンと叩いてはげました



「痛ッ!……え、"あたしも行く"ぅ!?」


あたしの言葉をおうむ返しにする。
ツナの顔に まさか…!と書いてある




『ん、A組ピンチんなったらあたしも出るから』

「ええぇえぇ!!」


『ほら、センセーからもらった許可証』



心底驚いてるツナにそれをわたした



「弥白が棒倒しに参加したがってたことは知ってたけど、まさか許可が出てたなんて…」


『ハハッ やる気が大事なんだってさー』



まじまじと許可証を見つめるツナは、急に目を見開いて固まってしまった



視線は許可証のまま 口を開く


「…弥白、これ どの先生にもらったの?」


恐る恐る聞いてくる彼に疑問をもちつつ応えた




『? 確か…リボ山ってゆーセンセーだよ』

「……(リボーンの野郎!!!)」







―どーしても出たいって言うなら許可出さないこともないぞ―



コーヒーを飲みながら、そのセンセーは、あたしが棒倒し出場を軒並み断られたのを知ってるかのようにそー言った

まだあたしはあきらめてないってこともぜんぶお見通しだったらしく、

あたしが妥協できるギリギリの条件をつけて今にいたる





…そういえば



『やけに身長低いセンセーだったな〜』


その一言を聞いたツナは頭を抱えてしまった




『?どしたのツナ?』


「ゔ…………なんでもない」



ツナがなにか言いかけたけど、言ったのはそれだけだった






…早く始まんないかな〜
…早く始まんないかな〜


条件付きだろうが出れることには変わりない




あたしは心から棒倒しの始まりを楽しみにしていた。















「(あんなに楽しみにしてたら止められないじゃん!)」



悩む男、一名






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