雨音が聞こえる

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体育祭の季節。




ここ並中でも、来たる体育祭に向けて着々と準備が進められている。








そんな熱気に包まれた並中校舎の一室で今











「"極限必勝!!!"」





熱い男が叫んでいた。








「これが明日の体育祭での我々A組のスローガンだ!!

勝たなければ意味はない!!」


「「「「オオォオォォーー!!」」」」



男子も女子も関係なく、笹川センパイの言葉に拳を上げて叫ぶ(あたしも)。




みんなそれだけ体育祭を楽しみにしてるってわけだ。





まぁ、一部例外はいるけど。



「うぜーっスよね
あのボクシング野郎」



「んなっ」




獄寺がそう。




「フツーに喋れっての…ったく!」



『まーまー』




確かに声が大きいとは思うけど、A組がこんなに盛りあがってるのはセンパイのおかげ。



センパイの声が大きいほどみんなのやる気が上がるから逆にいいと思うけどな〜





それは置いといて




「今年も組の勝敗をにぎるのは、やはり棒倒しだ」



「ボータオシ?」





棒倒しってゆーのは、体育祭の最後に全男子がやる競技。


各組の総大将が棒のてっぺんに登り
相手の総大将を地面に落としたチームが勝ちっていうルール。




普通とはルールが違うらしいけど、あたしは今までこれしか見たことないからよくわかんない。






この棒倒しは、勝ったときたくさんの得点が入る。



うまくいけば逆転優勝もあり得る
まさに体育祭の華と言える競技だ。





「例年
組の代表を棒倒しの"総大将"にするならわしだ。

つまりオレがやるべきだ」



まぁ伝統守るんだったらそーなるよね




「だがオレは辞退する!!!」

「!!!」

「え゙!!?」




センパイの言った言葉にざわつく室内。



センパイやんないの!?って感じか。





「オレは大将であるより
兵士として戦いたいんだー!!!」



力いっぱい言い切った。




センパイらしいなー


総大将は落ちないように棒の上にいるだけだから、性に合わないんだろーね。




「だが心配はいらん。

オレより総大将にふさわしい男を用意してある」





さっきの言葉で静まりかえっていた部屋にひびく声。



「え」


「笹川以上に総大将にふさわしい男だって?」




笹川だから…とセンパイに代表を任せた3年生がざわめく。





センパイよりふさわしい人か〜〜…誰だろ?











「1のA 沢田ツナだ!!」


「へ?」



選ばれたのはツナ。



『おおおっ』



「10代目のすごさをわかってんじゃねーかボクシング野郎!」




やっぱこーゆーのはツナじゃないと!!






「は?えっ なんで!」



ツナが驚いてあわててる間に話はどんどん進む。



「賛成の者は手をあげてくれ!
過半数の挙手で決定とする!!」




もちろんあたしはすぐに手をあげた。





でも手をあげてるのはあたしと獄寺、笹川センパイだけ。




他の人たちは「1年にはムリだろ」とか「負けたくないもんね〜」と言っている。




ツナもツナでそれでいいって流しちゃってる。






ツナが一番適役だと思うのになー…






一向に手があがらないのに焦れたセンパイと獄寺が
周りの人に手をあげるよう言いはじめた。




そうしてだんだんとあがる手の数が増えていき





「決定!!!
棒倒し大将は沢田ツナだ!!」




ツナが総大将をやることに決まった。








その後は軽く明日の段取りを確認してみんなの気合いをいれなおし、A組会議は終わった。








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